流通再編の衝動その7 潰えたローソン・ミニストップ連合の可能性
潰えたローソン・ミニストップ経営統合の可能性
これまで、M&A(合併・買収)とは無縁の経営を続けてきたセブン-イレブンが、この先コンビニチェーンを買収することはあり得るのだろうか。それはおそらく「ノー」だろう。だが業界2位のファミリーマート(東京都)、3位のローソン(東京都)はさらなるM&Aに踏み切る可能性が考えられる。
M&Aの主役として、最有力視されていたのがローソンだ。イオン(千葉県)が総合商社の三菱商事と2008年に資本業務提携して以降、くすぶり続けてきたことでもあるが、三菱商事・ローソン連合の切り札と言われていたのがミニストップ(千葉県)との経営統合だった。ファミリーマートがユニー傘下のサークルKサンクスを取り込んで2位に浮上したこともあり、その公算は一段と高まった。
ローソンがミニストップと経営統合すれば、2位に浮上したファミリーマートと店舗数で並ぶ。業界では誰もがこの“足し算”を予想した。だが、昨年12月に三菱商事はイオンとの提携を解消してしまっており、その再編のシナリオは潰えたとみていいだろう。ただ、三菱商事はグループに食品卸大手の三菱食品を保有していたり、食品メーカーに出資していたりと巨大な流通経済圏を形成している。今後も買収相手を物色する動きは続くとみられる。
コンビニエンスストアは装置産業であり、加盟店に対し、情報・物流システムを提供するために、定期的な周期で莫大な投資が必要となる。商品開発、加盟店支援策にもコストがかかるので、規模の利益が必要となる。上位3社と中堅・中小コンビニとの格差が開く現状では、中堅・中小チェーンの“一発逆転”の奇策は考えられず、大手の傘下に入るのが賢明といえるだろう。
コンビニチェーンの多くはフランチャイズ加盟店を抱えており、各加盟店オーナーを説得して統合を進めるハードルは高い。だが、オーバーストアに超業態間競争の激化と環境変化は目まぐるしく、もはや再編待ったなしの様相だ。(次回へ続く)