再び成長路線へ! アマゾン一強時代を勝ち抜く、LOHACOの”共創”EC戦略とは!?
ロハコ限定デザインの商品が、既存商品の欠点を消す!
すでに、LOHACO を通じて収集したデータと、ECでの販売特性を踏まえラボで開発販売した商品はいくつもあるが、わかりやすい事例として吉岡氏は次の2商品をあげる。
ひとつめが、【ロハコ限定デザイン】「リセッシュ除菌EX ハンドステッチデザイン 香りが残らない」(本体 370ml/花王)だ。
従来のリセッシュは「商品は評価されているのに、棚の中か引出しにしまわれて、いまひとつ使ってもらえない」というメーカーからの悩みがあった商品で、LOHACOユーザーのデータなどから「除菌用と目立つように表示された商品は、いくら機能的に優れていても、室内で人前の見えるところに置きたくない。だから、すぐには使えないから、結局使わないことになる」という仮説を導き出していた。この仮説に基づき、まったく新しい視点から開発したのが【ロハコ限定デザイン】のリセッシュで、ロゴや商品名を極力小さくし、服飾デザイナーが3つの香り(グリーンハーブの香り、香りが残らないタイプ、ピュアソープの香り)に合せてボトルをデザインした。その結果は、仮説のとおりで、デザイン変更前のものより20円高くなっているにもかかわらず、変更後は11倍の売上につながった。
もうひとつが「トイレットペーパー 6ロール入 再生紙配合 ダブル 75m くつろぐ花の香り スコッティフラワーパック 3倍長持ち6ロール(1パック6ロール入)」だ。
トイレットペーパーの主流は25m巻き×12ロールだが、「25m巻きは消耗までの時間が早く、交換回数も増える。しかも12ロールでの販売だから、収納にも場所をとる」というアスクルのユーザーからのコメントが以前にあったことから、吉岡氏がメーカーに「思い切って3倍巻きができませんか」と持ちかけたという。メーカーはしっかり商品化にこぎつけ、ユーザーからのレビューにも「保管しやすい、交換頻度が少なくてすむ」といったコメントが多く寄せられた。さらに購買傾向を見ると、同一ユーザーが続けて購入しており、25m巻き、50m巻きなどよりもリピート性向が強く現れている。
また、この商品は紙パックのリサイクルパルプを使用したトイレットペーパー。配送をするにも、同じ量だけ使える25m巻きのトイレットペーパーよりスペースをとらずにすみ、(1ロールで3倍分の使用量があるので)配送回数も減少する。つまり環境にも優しく、配送の負荷も軽減されたというわけだ。
吉岡氏は「購買データは個人のモノであるが、社会に還元されるものだ」と考えている。もうしそうした考えが徹底されて共有されるのならば、現在、特定企業によるデータの囲い込みに嫌悪感を示す生活者も、喜んで個人データを提供するようになるのではないか。
LOHACOの試みはこれからの共創社会をつくり上げるうえで、ひとつの方向感を示しているといえるだろう。