3~5月の既存店の伸びはライバル2社に後塵、セブンーイレブン再成長への道!
投資額1450億円 6割強を既存店に
店舗政策では、低採算店が増加していることを受け、出店・閉店基準を厳格化する。このことは必然的に新規出店数が減ることを意味する。従来は「新店6:既存店4」の割合だった投資配分を見直し、6割強を既存店強化に投じる方針に転換した。
それに伴い、営業政策では深刻化する客数減と既存店売上高伸び率の鈍化への対策として、16年末から進めている新レイアウト導入に注力。新レイアウトの導入店舗数は現在3400店舗(19年2月期末時点)。20年2月期は、一気に9400店舗まで増やす。新レイアウトに改装した店舗では、平均日販が1万4200円アップする効果が見られており、粗利益率の改善も見込んでいる。
批判の矛先が向けられている、24時間営業問題への対応も進める。19年3月から直営店10店舗で短縮営業の実験を進めており、4月から加盟店でも実験を始めた。省人化による生産性向上も推し進める方針で、数店舗で先行テスト中のセミセルフレジを年内に全店導入するほか、直営136店舗でAIを活用した発注テストを実施中だ。
こうした取り組みにより、セブン–イレブンでは20年2月期にチェーン全店売上高5兆570億円(同3.2%増)、営業総収入8983億円(同2.8%増)、営業利益2500億円(同2.0%増)、既存店売上高伸び率同1.5増、粗利益率32.1%(同0.2ポイント増)の達成をめざす。
とは言え、3~5月の既存店売上高をみてみると、3月0.1%増、4月0.2%増、5月0.7%増と、尻上がりにその伸び幅が大きくなっているものの、現時点では既存店売上高1.5%成長は高いハードルに思える。業界2位のファミリーマートは3月0.8%増、4月1.8%増、5月2.4%増で、3位のローソンは3月0.3%減、4月1.7%増、5月2.4%増で推移しており、セブンーイレブンを上回る水準で既存店を成長させている点からも、セブンーイレブンの“堅調”な伸びはある種の物足りなさを感じる。
改装効果をどこまで最大化させられるかが、再成長をめざすうえでの正念場となりそうだ。