ECモール激戦時代を勝ち抜くには? 3本柱からなるパルコのデジタル戦略とは

2021/11/11 05:55
    野澤正毅
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    テナント支援で、顧客からの支持もアップ

    渋谷パルコのオンラインストア
    オンラインストア企画「渋谷 PARCO 通販はじめました」

     同社のECを担うCRM推進部は現在、契約社員を含めて23人の陣容。内訳は、オンラインストアチームが67人、カードポイント・キャッシュレス決済チームが67人、コミュニケーションチームが45人、カスタマー・テナントサポートチームが45人となっている(マルチタスクのため、複数のチームに所属しているスタッフもいる)。

     同社のEC事業の特徴としては、テナント支援機能の充実が挙げられるだろう。「当社はリーシングが生業で、商品を直接販売しているわけではありません。その代わりに、ECでもテナントさんをサポートし、売上アップに寄与したいと考えています。そうすれば、“パルコに出店してよかった”と評価してもらえるし、お客さまからの支持にもつながる。当社のビジネスにもプラスになるからです」(同)。

     例えば、テナント向けの研修メニュー(参加無料)を豊富に揃えている。「ECサイト用の商品写真を魅力的に撮影するにはどうしたらいいか ? 」「お客さまの心に刺さるブログを書くにはどうすればいいか ? 」といったテーマ別に研修を行い、テナントの成功事例を紹介したり、有名なユーチューバーやインスタグラマーを講師に招いたりしているという。

     とはいえ、流通各社がECを手掛けるのが当たり前になった今、ファッションビルは、ECでも転機を迎えている。小売店が続々と自社サイトを立ち上げ、楽天やアマゾン、ZOZOTOWNといった巨大なECモールが成長する中、「ファッションビルのECモールがなぜ必要なのか」という、存在理由が問われているわけだ。

     パルコの場合、独自ポイントが大きな武器になっている。「お客さまからすれば、同じ商品を買うなら、ほかのECサイトよりも当社のECサイトのほうが、ポイントがつく分、お得というわけです」(同)。テナントのショップにとっても、パルコのECサイト経由でも商品が売れれば、自店の売上に計上されるため、「ECでも、パルコで売れたほうがいい」ということになるわけだ。

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