ローソンが「炒め」に特化した調理ロボットを初導入! その実力とは

関川 耕平 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

ローソン(東京都/竹増貞信社長)は、次世代型コンビニエンスストア(CVS)「未来のコンビニ」構想のもと、先進技術の導入を加速している。その最新の取り組みとして、722日、調理ロボット「I-Robo 2」を「ローソン北大塚一丁目店」(東京都豊島区:以下、北大塚一丁目店)に導入。「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」(東京都港区)で稼働を開始した油調ロボット「F-Robo」に次ぐ調理ロボットの導入となる。「I-Robo 2」は店内調理のオペレーションにどのような変化をもたらすのだろうか。

店内調理のセルフオーダーの調理に炒め機能に特化したロボット「I-Robo 2」を導入した北大塚一丁目店

調理から洗浄まで高度な自動化を実現!

 ローソンは、次世代CVSモデルの実現に向け、調理工程の自動化を加速している。同社は722日、その最新施策として、炒め調理に特化した調理ロボット「I-Robo 2」の運用を北大塚一丁目店で開始した。

 同店はオープン当初(22年11月)から、お客が注文してから店内調理し、できたてを提供する「セルフオーダー」サービスを実施している。今回導入する調理ロボットはその一部のメニューの調理を担う。

 「I-Robo 2」は、攪拌(かくはん)機能と加熱機能を備え、最高約350度の高温で短時間の調理を実現する。たとえば、強火が求められる「炒飯」や「野菜炒め」といったメニューは、1人前当たり約1分半~2分半で調理可能だ。さらに、調理後の鍋の洗浄機能も自動化されており、わずか20秒ほどで次の調理に移行できる。

野菜炒めを調理する「I-Robo 2」。「F-Robo」と同様、ロボット開発会社TechMagic(東京都/白木裕士社長) が開発を担う

 従業員が行うのは、指定された材料をロボットの指示に従って投入する作業のみ。投入タイミングもロボットが逐次ガイドするため、調理経験を問わず品質を均一化できる。このマニュアルレスな自動化は、チェーンオペレーションと高い親和性を持つ。

 顧客側の注文フローもシンプルに設計されている。店内の専用端末を使用してセルフオーダーを行い、従業員は厨房の端末で注文を確認。調理が完了すると、店頭のデジタルモニターに注文番号が表示され、顧客はその場で商品を受け取る仕組みだ。注文後に調理を行うため、商品はすべてできたての状態で提供される。

セルフオーダー用に売場に設置された端末。注文は厨房のロボットに備わるモニターに転送される

 これまで、ローソンの店内調理は主に「フライ」と「レンジ加熱」による提供にとどまっていたが、「I-Robo 2」の導入により「炒める」工程を店頭オペレーションに取り込むことが可能となった。導入初日時点(722日)では、「炒飯」「野菜炒め」に加え、店内で揚げた春巻きや唐揚げなどをトッピングした全14品をラインアップする。

複雑な調理工程は「I-Robo 2」が担うため、慣れない従業員でも簡単に管理できる(調理時は油跳ね防止用のフタを下げる。今回はデモ調理のためフタを上げている)
鍋を下に向けて洗浄を開始。工程は20秒ほどで完了する

 同ロボットは、メニューごとに加熱温度、時間、鍋の回転スピードや回転方向を柔軟に制御可能で、多様な調理条件に対応できる点も大きな強みだ。ローソン事業開発部部長の塩野貴啓氏は、「現在は中華系以外のメニュー開発も始まっている。今後、ロボット調理で対応可能なメニューの拡大を図っていきたい」と話す。

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記事執筆者

関川 耕平 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

1995年生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。

24年に株式会社ダイヤモンド・リテイルメディアに入社し『ダイヤモンド・チェーンストア』の担当編集者となる。

趣味はクライミングとコーヒーを淹れること。特技と悩みは浪費と早食い。

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