クラシルがネットスーパー参入 クラシルマートの勝算と他社にはない強みとは

2022/07/27 05:55
    阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
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    クイックコマースなのに「軽バン」で配送する理由

     こだわるのが生鮮の鮮度だ。野菜は前日夕方に収穫したものがその日の朝納品されるほか、青果卸を通じて一部産地直送野菜も扱う。生鮮品はすべてパッケージされた状態で納品され、ダークストア内での加工作業は行わない。
     現在はメーカー品のチルド総菜などは扱うが、いわゆる総菜の扱いはなし。また鮮魚の取り扱いは現時点で、各種冷凍魚、加工調理済みのチルド商品などに限られるが、今後は刺身なども品揃えしていきたい考えだ。

     なお価格政策については、「少なくとも、スーパーマーケットと比較できる程度」の値付けとする。一方、送料は無料だ。

      配送は3km圏内が目安。同心円ではなく、子育て世代が多いエリアや世帯数が多いエリアを優先して設定する。特徴は、注文から1030分以内に配達するクイックコマースは自転車やバイクを使うのに対して、すべて「軽バン」を使う点だ。レシピに必要な素材がすべて揃うネットスーパーをめざすため、一件あたりの配送量が増えるとみているからだ。

      オープン間もないが、現時点での生鮮売上構成比は4割と高く、想定ターゲットに合致した購買行動が目立つと言う。売上も当初の予想を上回る上々のスタートを切ったクラシルマート。今後、五反田店で品揃えやオペレーションの検証を進めた後、6か月程度を目安に拠点を一気に増やしていきたい考えだ。同時に、クラシルのレシピと連動したサービスもスタートする予定だ。

     一方、5600万人の利用者数を誇る「クラシル」からの送客を行うのは少し先のことになるという。首都圏都心部での展開を進めていき、ある程度の人口をカバーした段階での開始となりそうだ。それまではチラシのポスティングといったローカルマーケティングに徹して、エリア認知度を高めていく。

     大竹氏は「黒字になるサステナブルな事業を構築するために、生鮮の売上構成比を高めて利用頻度を高め、粗利益率を高めていく」と語る。

    クラシルマート事業を統括するdely執行役員/コマースカンパニーGMの大竹雅登氏
    クラシルマート事業を統括するdely執行役員/コマースカンパニーGMの大竹雅登氏
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    記事執筆者

    阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

    マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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