クラシルがネットスーパー参入 クラシルマートの勝算と他社にはない強みとは
ダークストアの売場面積は100坪、品揃えは…
ダークストア1号店となる五反田店は、五反田駅から10分ほど離れた場所にある古いオフィスビルの2階にある。元はクラシルの動画撮影スタジオだったフロアで、このうち約100坪の空間をダークストアとして使う。棚ごとに番地が振られ、カテゴリー別に什器に商品が並んであるのは、他のダークストアと同様だ。
異なるのが冷凍、冷蔵品の什器。スーパーマーケットと同様、冷蔵、冷凍ショーケースを使うダークストアが多い中、クラシルマートが主に使うのは業務用の冷蔵、冷凍庫だ。「商品の位置は番地で紐づけてあるから、外から商品を目視で確認できる必要はない。トビラ付き冷蔵、冷凍庫の方が価格も安く、冷却効率も良い」(同)のがその理由だ。
ところでなぜ、多くのクイックコマースが1階の物件をダークストアとして選ぶなか、クラシルマートは「空中物件」にしたのか?例えば同じクイックコマースのOniGOのダークストアは商店街などの1階に立地し、オープン当初は認知度を高めるために米の販売なども行っている。
「クラシルマートは、10~30分といった時間軸ではなく、注文から1時間以内に届けるサービス。1階にこだわる必要がないし、2階以上の物件の方が賃料は安い。一方で、オペレーションとSKU数に直結するため、ダークストアの広さを優先している」(同)
重視するというその品揃えは「料理をする人が必要とする食材を揃える」ことがテーマのため、生鮮3品も取り扱い、オープン当初は2000SKUからスタート。今後、お客の要望に合わせて、品揃えを増やしていき、普段の買い物を完結するうえで不足のない、4000~5000SKUにまで増やしていきたい考えだ。
品揃えおよび各商材の仕入れ個数についてはクラシルのデータを活用する。たとえば取材した7月22日、検索ボリュームが上昇中で検索キーワード1位となった野菜はレタスだったので、その日の仕入れ個数を増やす、といった具合だ。商品は卸のほか、メーカーや市場から直接仕入れる場合もあり、原則注文から1日で納品される体制を整える。