激戦区・赤羽で建て替えオープンの「イオンスタイル赤羽」 食品の売場づくりを徹底解説!

榎本 博之(経営コンサルタント事務所 アズライト代表)
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有力チェーンがひしめく食品小売の激戦区、東京・赤羽。2023年7月、「赤羽」駅から直線距離で約1kmの場所に、「イオンスタイル赤羽」がオープンした。同店は1982年に「忠実屋赤羽店」として開店。38年間にわたって営業した後、スクラップ&ビルドにより新たにリニューアルした。本稿では、新装オープンしたイオンスタイル赤羽の各部門の特徴を確認しつつ、売場づくりを説明していく。

「日常使い」を取り込む工夫が随所に

 イオンリテール(千葉県)は2023年7月28日、2020年に閉店した「イオン赤羽北本通り店」をスクラップ&ビルドするかたりで「イオンスタイル赤羽」を新装オープンした。

 食品売場は旧店時代の1.6倍に拡大され、地域で唯一の「日常使いのワンストップショッピングサービス」を提供することをめざす同店。主通路、副通路ともに1.8メートル以上の通路幅を確保しており、快適に買物を楽しめるレイアウトとなっている。

 青果から鮮魚に至る売場では、高さをおさえた陳列什器が開放感を生み出し、買物のしやすさに寄与している。

 部門別に売場を見ていこう。青果は平台4台の構成で、果物が1.5台分、野菜が2.5台分を使用、一品単価が高い果物を売り込む姿勢が伝わってくる。視察時は、売場トップでイチゴとリンゴを売り出していた。

 青果全体に共通しているのは、フェース数を確保して面での陳列をしっかり行っている点だ。

 イチゴは8SKU、リンゴは7SKUと品揃えが豊富で、購入への選択肢を広げている。イチゴのボリューム陳列は、主通路に沿いのエンド部分で行われており、「とちおとめ」「とちあいか」を478円で、大型のパネルを設置して強調していた。品揃えの幅は広いものの、価格幅は400円~700円前後にまとめており、「日常使い」に配慮した取り組みとなっている。

 リンゴは品種こそ多くないが、ばら売りと袋入りを併売しており、用途の選択肢を広げることで手軽な購入を促している。

 そのほか平台ではバナナを6SKUで展開し、青汁の粉末との関連販売で、「バナナとほうれん草のスムージー」のレシピとPOPをつけて訴求していた。バナナはヘビーユーザーが多く、来店頻度を高める重要アイテムの一つである。購入への動機づけを高める仕掛けを平台で行っているのは注目ポイントと言える。

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