閑散地域の頼れるドラッグストア!「クリエイトSD倉見才戸店」視察レポート

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エンド展開の落とし穴

 複数のエンドがつくることができる店舗は、多種多様な生活に寄り添った商品提案ができる。しかし、複数のエンドを機能的に使いこなすにはそれなりの技量が必要だ。先ほどはエンド展開のメリットを挙げたが、ここではデメリットを書き出していく。

 エンド展開のデメリットとしてまず考えられるのが、商品のボリュームの維持の難しさだ。エンドは在庫の多さで迫力のある売場を演出しているのだが、商品が売れて棚がスカスカになると売場の魅力がガクンと落ちる。

 潤沢に在庫がある売場のエンドは、華やかで目を引き、目的の商品ではなくてもつい手に取ってみたくなる心理が働く。しかし、在庫が薄い売場は単純に魅力のない棚と化し、売れ数が極端に落ちる。お買い得品や話題品を大々的に展開しているときは回転率が上がる半面、棚がすぐ空いししまうので適宜品出しをして管理する必要がある。定番棚より在庫の動きがよいので、売場メンテナンスがちょっと面倒なのだ。

巧みなエンドづくりに注目

 このような問題点に対し、倉見才戸店では、医薬品エンドに空き箱や商品の正面デザインがラミネートされた販促物を使ってうまくコントロールしていた。ある程度売れても補充しやすいように、手前に現品を陳列しながら、箱陳列やラミネートポスターでボリューム感を維持し、うまく在庫管理をしている印象だ。企画品の在庫も豊富で、売場の華やかさを損なわれていない、安心してみていられるエンドであった

 もう1つデメリットを挙げるとすると、お客さま側から見たエンドの認知度と視認性の低さがある。エンドは定番棚と違い、季節や訴求したいアイテムによって、適宜商品を変更したり、場所を替えるので、力を入れたエンドづくりをしないと商品が認知されにくい(常に商品位置が決まっている定番売場の方に意識が流されてしまう)。

 また、ゴンドラ什器の折り返し地点ということもあり、一定のお客さまにとっては折り返しポイントそのものが死角となり、売場が見えていない場合もある。「商品の8割は定番から売れる」と言われるくらいなので、エンド作成は「本当に売りたい・目立たせたい商品」を相応の熱量をもって取り組まないと、ただの「物置」(=死にエンド)と化してしまうリスクがある。

 では、お客さまの死角になりやすいエンド提案にどう存在感を持たせるか。倉見才戸店では、壁面がシャンプーのコーナーとなっていて、途中までは定番の品揃えだが、通路をある程度進むと、ある場所から価格訴求型商品を配置した売場となっている。定番売場と同じ並びで、お買い得品のシャンプーやトリートメントが一面に展開されているのだ。

 エンド提案を定番売場に組み込み、「定番一体型エンド」にすることで売場の見逃しがないよう工夫しているのは、とても画期的だと思った。これらはクリエイトSD各店で見ることができるので、ぜひお近くの店舗で確認してもらいたい。

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記事執筆者

4年制大学卒業後、某ドラッグストア企業に入社。現役ドラッグストア店員。医薬品登録販売者資格保有。売場の魅せ方や販促物の使い方など商品展開に興味を持ち、ドラッグストア巡りを始める。趣味:ドラッグストア巡り、映画鑑賞。

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