ビューティ強化店舗「ココカラファイン藤沢駅前店」を現役ドラッグストアスタッフが解説!

Pocket

お客さまとの“ミスマッチ”を回避!

 次に注目したいのが「専門スタッフが担当業務に従事しやすい」という点だ。規模の大きいドラッグストアで起こる困りごとのひとつに、「特定業務の専門スタッフがお客さまから専門外のことを聞かれてしまう」という問題がある。

 薬のプロフェッショナルである薬剤師がコスメのことを聞かれてしまったり、店舗巡回で訪れた化粧品ラウンダーをお客さまに店舗スタッフだと勘違いされて声をかけられたりなどだ。ドラッグストアは取り扱い品目が多く、これらの問題は営業するうえで避けて通ることが難しい。そして何より、お客さまに悪気はないためどうしても起こりうる。
 
 藤沢駅前店では、化粧品売場と医薬品売場を完全にすみ分けることでお客さまとスタッフのミスマッチングを防いでおり、専門スタッフは担当業務に集中しやすい環境が保たれている。お客さまからしても、どの売場にいるスタッフに声をかけたらいいかがわかりやすいため、「声をかけた相手が対応できず、担当スタッフが来るまで待ちぼうけをくらう」などといったストレスからも解放され、効率的に買物ができる。これを実現し、しかも継続できる環境を構築できてという点は注目してほしいところだ。

買物しやすいレイアウトとは何か

 関連して、「買物がしやすい売場レイアウトになっている」という点にも改めて注目したい。当たり前のことだが、カテゴリに沿って売場がつくられていたらお客さまは買物がしやすい。基本中の基本ではあるものの、藤沢駅前店はほかのドラッグストアと比べてもカテゴリを遵守した店舗レイアウトであった。

 これも現役ドラッグストアスタッフとして抱える困りごとの1つだが、お客さまから特定の売場の場所を聞かれたときに、「化粧品コーナーは大体ここに収まっているが、洗顔コーナーとコットンだけあっちの通路にあります」だったり、「そのコスメは定番売場から少し離れたエンドと、現在は店頭にも展開しています」など、お客さまをあちこちと歩かせてしまうことがよくある。こうした商品のご案内業務は、お客さまとスタッフ、双方の時間を取ってしまい、かなりのロスになってしまっていると日々感じている。

 他方、藤沢駅前店では、トレンド品は化粧品売場内に極力展開しており、化粧品のエンドも目立ちやすい店頭ではなく、化粧品区画内に設置されている。元の売場から逸脱しないよう、おそらく店舗独自のルールに則って商品を展開しているため、お客さまとしても目的の商品を見つけ出しやすい。それでも場所がわからなければ専門スタッフが近くにいるため声もかけやすい。また、通路導線が化粧品と医薬品売場の境に位置しているため、お客さまは案内図を見なくても、感覚だけで売場を把握しやすいつくりになっている点も特筆しておきたい。

 以上の売場づくりにより、特定の場所での商品管理と専門スタッフの従事が叶うことで、万引きの早期発見、予防をしやすいという利点もある。

 藤沢駅前店の化粧品売場は、現役ドラッグストアのスタッフとして思わず唸ってしまうほど、よく計算された売場づくりがなされている。販促物の効果的な活用、人員の配置、また、業務上優先度がどうしても低くなってしまう各コーナーのテスターも清潔に管理されるなど、隅々まで目が行き届いた売場管理がなされていた。化粧品という商材そのものが持つ魅力を十分に引き出す工夫が随所に凝らされているこの藤沢駅前店は、化粧品を扱う業界の関係者はぜひ一度見ておきたい店舗と言っていい。

 販売体制が姿勢がしっかりしすぎていて唸りに唸りまくった店舗だった。化粧品そのものが持つ魅力を十二分に引き出すため、販促物の効率的な活用から人員の配置から細かなテスターの管理まで売場隅々まで目も人の手も行き届いた店舗だった。(業務上後回しにされやすいテスターのクリンネス、ここではテスターも清潔に管理されていて素晴らしいと思った。)

1 2

記事執筆者

4年制大学卒業後、某ドラッグストア企業に入社。現役ドラッグストア店員。医薬品登録販売者資格保有。売場の魅せ方や販促物の使い方など商品展開に興味を持ち、ドラッグストア巡りを始める。趣味:ドラッグストア巡り、映画鑑賞。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態