イオンがベトナムで出店攻勢! 同国初の中型SC「イオンタンアンSC」の全貌

2025/10/07 04:50
上林 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

3階は全体で子供向けフロアを形成

 タンアンSCは4つのフロアで構成されており、総合スーパーを核に、30店舗のテナントのほか、「MY CLOSET」「HOME COODY」をはじめとしたイオンが手がける専門店なども出店。施設規模がコンパクトなぶん、ワンストップショッピングの利便性を追求している。

 1階は食品スーパー売場、デリカ売場のほか、「スターバックス」をはじめとした人気の飲食店が出店する食品中心のフロアだ。デリカ売場は、売場面積750㎡の広さに「セルフサービス型フードコート」として展開する。寿司やおにぎり、サラダバー、ベーカリーなど豊富なメニューを揃えており、イートインは188席を備えている。ローカライズしたメニューも多く、タンアンSCではベトナム南部・メコンデルタの味覚を楽しめる鍋料理を新たに投入した。人気の根強い寿司や、200種以上の商品を焼きたてで提供するベーカリーがソフトオープンでは大好評だったという。

デリカ売場では、寿司やベーカリー、ローカライズしたメニューをーなどを展開する

 2階では、ファッション、アクセサリー、家電などのテナントが出店している。特筆すべきは、イオンが手掛ける自社ブランド店舗だ。衣料品を扱う「MY CLOSET」では、Z世代をターゲットに定め、多様なスタイルの衣服を提案する。インテリア用品の「HOME COODY」では、シンプルなデザインの商品を中心に取り揃えた。

2階では、ファッション、アクセサリー、家電などのテナントが出店している

 続く3階は、キッズ・エンターテインメントゾーンと題し、子ども向けの遊び場やフードコート、ゲームセンターなどが入る。衣料品、家具、寝具でもベビー・キッズ向けの商品を多く揃え、授乳用品やおもちゃなども展開している。また、無料のキッズプレイグラウンドも併設し、ファミリー層の来店を促したい考えだ。そのほか、3~4階には映画館も入居している。

 大泉氏は「ベトナムは平均年齢が約34歳で、若いファミリー層の来店が期待できる。タンアンSCでは、実験的に3階をキッズゾーンとしてつくっており、今後もキッズは強化していくつもりだ」と話している。

3階はキッズに重点を置き、ベビー・キッズ用品を揃えた店舗や、ゲームセンターなどをワンフロアに集めた

2030年度までに店舗数を3倍に

 大泉氏はベトナムにおける今後の出店について、「5~10年で300~500店舗の出店余地はある」と明言。すでに来年(26年)も4店舗の出店が決まっているとしたうえで、2030年度までに店舗数を現在の3倍に増やす計画だという。2大都市であるハノイとホーチミンのほか、地方の中核都市にも出店を拡大していく。大都市圏では小型食品スーパーの出店も検討する。

 イオンが「日本に次ぐ重要な市場」と位置付けるベトナム。同社は、新たに中型ショッピングセンターが加わったマルチフォーマット戦略、自社ブランドの活用など、グループシナジーの発揮によりさらなるシェア獲得をめざす。

1 2

記事執筆者

上林 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

2000年生まれ。埼玉県出身。法政大学文学部英文学科卒業後、地方新聞社の営業職を経て株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。

流通小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部で執筆・編集を行う。

趣味はお笑い鑑賞、音楽鑑賞。一番好きなアーティストは椎名林檎。

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態