福岡・天神の新たなランドマーク「ワンビル」が、”万博レベル”の集客に成功した理由

2025/09/03 05:00
吉牟田 祐司

「創造交差点」のコンセプトで感度の高い店舗を誘致

MAISON KITSUNÉ
人気ショップの一つ「MAISON KITSUNÉ」

 渡辺通りと明治通りが交差する天神交差点に面した北西側広場には、ニコライ・バーグマンが梅の花をモチーフに制作した12m×約8mの壁面緑化アート、福博であい通りに面する南西側広場にはレアンドロ・エルリッヒが手掛けた自然とバーチャルを組み合わせた作品が来館者を出迎える。商業フロアでは福岡にゆかりのあるアーティストの作品を至るところで目にすることができ、オフィスフロアのエントランスとなる6階のスカイロビーには東京のスパイラルとの協業で若手アーティストの立体作品が展示されている。

 また7階にあるコワーキングスペースやプライベートオフィスを備えたイノベーションキャンパス「CIC Fukuoka」のエントランスには、福岡の伝統工芸品である大川組子が飾られ、4人のアーティストがウォールアートプロジェクトを展開。ホテルフロアでは福ビルの外観や天神コアの意匠をモチーフにしたアートのほか、福岡の伝統工芸品や地元アーティスト、写真家の作品が見られる。

FACE Records」
2階フロアの「FACE Records」

「開業時にスパイラルと共同開催したイベントには想像をはるかに超える来場があった。写真を撮りながら館内を歩いている人も多く、展示されているアート作品を楽しそうに見ているお客さまの姿も目立つ。音楽も同様で、商業フロアにはアナログレコード専門店があるし、もともと福岡は音楽が盛んな街。今後は音楽的な要素を積極的に取り入れた仕掛けも検討していきたい」(村田氏)

ワン・フクオカ・ビルディング
天神のれん街の様子

 また飲食店舗についても、5階に「天神福食堂」、地下1階の飲食ゾーンに「天神のれん街」、フードホール「iiTo TENJIN」があるほか、さまざまなテナントが軒を連ねる。「福岡で集客を図るなら食の要素は欠かせない。ただし経験上、単に東京の店を天神に呼ぶだけでは成功しないことがわかっていた。福岡を始めとする九州の味を中心に据えつつ、それ以外の部分を東京などから誘致したテナントに補完してもらう構図になった」と村田氏は明かす。

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