福岡・天神の新たなランドマーク「ワンビル」が、”万博レベル”の集客に成功した理由
国家戦略特区の再開発プロジェクトとして始動した福岡市の「天神ビッグバン」。渡辺通りと明治通りが交差する場所にあった福岡ビル(福ビル)、天神コア、天神ビブレが1つになって生まれ変わった「ワン・フクオカ・ビルディング」が2025年4月24日に開業した。中央区天神1丁目11番1号に建つ新しいランドマークの通称は「ワンビル」。九州最大の繁華街にどのような影響を及ぼすか。開発した西日本鉄道(福岡県/林田浩一社長)の担当者に話を聞いた。
福ビル、天神コア、天神ビブレの跡地に誕生

高度成長期の1961年に完成した福ビルは当時、西日本一のデラックスビルと呼ばれたオフィスビル。1976年開業の天神コア、後に天神ビブレとなる天神第一名店ビルは、天神を舞台にした小売・流通戦争の主戦場となり、バブル期には最先端のトレンドを発信するファッションビルとして多くの若者を集めた。
これら3つのビルが1つになって誕生したワンビルは、天神ビッグバンで最大面積を誇る大型複合ビルであり、地上19階、地下4階建て。延床面積は14万7000㎡に及ぶ。国家戦略特区の規制緩和によって実現した約97mの高さは航空法による高さ規制のほぼ上限で、ホテル、オフィス、商業エリアの3層構造になっている。総事業費は約900億円。国内でも注目の大規模再開発プロジェクトだ。

「天神ビッグバンの規制緩和で、この地域は高さ制限が100m、容積率が最大1400%まで認められたことで建て替えの余地が生まれ、決断に至った」と話すのは、開発を手掛けた西日本鉄道(以下、西鉄)ONE FUKUOKA BLDG.部 統括・施設管理担当 課長の仲村隆氏だ。
福ビルは2005年に発生した福岡県西方沖地震では大量のガラスが割れて歩道に散乱し、その様子がニュース番組で映し出された。また、かつては東京のSHIBUYA109のような賑わいを見せていた天神コア、天神ビブレも昭和、平成、令和と時代が変わる中で集客に陰りが出ていた。
仲村氏は「少子化、ファストファッションを含めた競合の増加、ECの広まりなど、さまざまな要因の影響で売上が下降気味になっており、建物の老朽化も進んでいた。その点を変えていきたい思いがあった」と振り返る。そして福ビル街区建替プロジェクトが立ち上がり、「創造交差点」のコンセプトでワンビルが完成した。
「ワンビルは、そもそもの出発点が商業ビルではなく大規模複合ビル。買物客だけでなく、オフィスで働くワーカー、ホテルの宿泊客と、さまざまな目的で訪れた人が交わり合って、新しい文化やビジネスが生まれ、その先に発見があることを非常に大切に考えている」(仲村氏)









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