9年でわずか25店舗 ブルーボトルコーヒーがあえてスローペース出店を貫く理由
2023年12月20日、ブルーボトルコーヒーの新店舗「代官山カフェ」が東京・代官山にオープンした。同年内では唯一の新規出店で、しかも前回出店(神戸阪急カフェ/2022年8月)から1年3か月ぶりであった。
2015年に東京・清澄白河に第1号店を構えてから9年間で25店舗と、コーヒーチェーンでは異例ともいえるスローペースを貫くブルーボトル。およそ「成長」とは無縁のように思えるが、どのような判断軸をもとに出店や店舗運営の意思決定を行っているのか? ブルーボトルコーヒージャパン合同会社ジェネラル・マネージャーの伊藤諒氏に聞いた。
2022年、2023年内の新規出店は各1店舗のみ
東急東横線「代官山」駅前の複合施設「フォレストゲート代官山」。名前のとおり、森をイメージした緑豊かな小径を抜けた先に、ブルーボトルコーヒー(以下「ブルーボトル」)が昨年末にオープンしたばかりの「代官山カフェ」はある。
起伏に富んだ代官山の地形をイメージしたという。小高い丘のようなバリスタステーションが印象的な店内。トーストやブランチプレートには、2024年 4 月に同じくフォレストゲート代官山内にオープン予定のブーランジュリーブランド「Et Nunc(エトヌンク)」のパンを採用。また、コーヒーだけでなく、「KBT-Kombucha Brewery Tokyo」のクラフトコンブチャを提供する。こういった空間デザインやメニューのセレクトに、ブルーボトルらしい店舗ごとの個性がうかがえる。
2024年2月9日には、九州エリア初出店となる「福岡天神カフェ」がオープンした。福岡と東京を拠点に空間デザインを行う「CASE-REAL(ケース・リアル)」の二俣公一氏が内装のデザインを担当。テーブルウェアは同じ九州・鹿児島に工房を構える「ONE KILN(ワンキルン)」のオリジナルプレートやカップを揃えた。
「サードウェーブコーヒー」ブームの火付け役としても知られ、日本でも高い知名度と人気を誇るブルーボトル。日本初上陸は2015年2月で、青山や銀座などの一等地ではなく江東区・清澄白河を1号店の場所に選んだことも、当時は大きな話題を呼んだ。
2024年でちょうど10年目を迎えるが、これまでは基本的に東京を中心とした関東エリアと、京都・神戸を中心とした関西エリアに絞って展開してきた。出店ペースも一部の例外を除いて、基本的には年間でほぼ1~3店舗で推移している。2022年、2023年の2年間はともに1店舗ずつだ。