食品スーパー最大手のライフコーポレーション(東京都/岩崎高治社長:以下、ライフ)が7月24日、東京都江戸川区に「ライフ本一色店」(以下、本一色店)をオープンした。ライフが公表している今期(2020年2月期)の出店計画によれば、首都圏への出店は同店と来月オープン予定の「川崎ルフロン店」(神奈川県横浜市)の2店舗のみ。首都圏の最新店舗ではどのような売場づくりをしているのかーー。
ライフの最新店である本一色店は、JR「新小岩」駅から歩いて15分、戸建て住宅やマンションが建ち並ぶ住宅街に立地する。長年駐車場として使用されていた土地に新設した店舗で、建物構造は地上3階建て。1階が駐車場、2階が売場のいわゆるピロティタイプの店舗だ(3階は従業員休憩室など)。売場面積は1235㎡、ライフとしてはレギュラー店舗の位置付けとなる。
標準的な売場面積ということもあり、品揃えもほぼ標準を踏襲したという同店ではどのような売場づくりをしているのか。写真とともに見ていこう。
エスカレーターを上がってすぐの農産売場では、主通路沿いの壁面で地場・近郊野菜の「ひだまりの郷」、「Oisix」コーナー、有機栽培野菜コーナーをまとめて展開する。
大型旗艦店「ライフ桜新町店」(東京都世田谷区)で導入した、「ドライフルーツ&ナッツバイキングコーナー」も常設する。
水産売場では、出店前の調査で近隣住民からの新鮮な鮮魚を求める声が多かったことから、既存店で導入しているMDをほぼフルラインで導入。ガラス張りの対面売場のほか、海鮮丼や寿司を提供する「うを鮨」や冷凍ミールキットコーナーを設けた。
水産売場がフルラインの品揃えであるのに対し、畜産売場はレギュラーの品揃えとなっている。「あまに豚」「あまに鶏」といったライフオリジナルのブランド肉を売り込みことで競合店との差別化を図る考えだ。
総菜売場は水産売場と同じくガラス張りの売場としており、既存店で好評のスープ・カレーバーコーナーや店内炊飯のご飯を使用したおにぎりコーナーを平台で展開する。
総菜売場と連動させるかたちでインストアベーカリーも設けている。単身世帯やシニア層の需要を想定し、通常サイズよりひと回り小さいミニサイズのホールピザを販売する。
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なぜ、ピロティタイプなのか
大手各社がこぞってピロティタイプ店舗を出店!
首都圏で店舗展開する小売業に目を向けてみると、最近は大手を中心にピロティタイプの店舗を次々と出店している。
直近ではサミット(東京都/竹野浩樹社長)が「サミットストア本天沼店」(東京都杉並区、18年11月)、マルエツ(東京都/古瀬良太社長)が「マルエツ江戸川橋店」(東京都新宿区、19年6月開業)とそれぞれピロティタイプの店舗を出店している。ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)の都市型小型店1号店として注目を集めた「八百幸成城店」(東京都調布市、17年11月開業)もピロティタイプだ。
一方で、スーパーバリュー(埼玉県/岸本圭司社長)が19年7月に出店した「スーパーバリュー世田谷松原店」(東京都世田谷区)のような、地上1・2階を駐車場にして地下1階に売場を配置するという珍しいケースもある。
各社がこぞってピロティタイプの店舗を新設するねらいは何か。その最大の理由は駐車場の確保である。
人口が集中する都市部では、食品スーパー店舗を出店可能な物件を確保するのが困難になっている。一般的な食品スーパーとして必要な売場面積を確保しつつ、集客の要となる駐車場を設けるには、平屋建ての店舗では厳しい。搬入されてくる商品を1階から2階の売場まで運ぶという、1階建て店舗にない“ひと手間”がかかることを考慮しても、ピロティタイプを採用して駐車スペースを確保したいというねらいが透ける。
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ライフ広報によれば、本一色店と同じくピロティタイプを採用した「ライフ菊川店」(東京都墨田区:売場面積約1400㎡:12年開業)は現在、年商30億円近くまで上がってきているという(当初の年商目標は21億円)。本一色店では2年目の年商目標を18億5000万円と設定しているが、将来的にはこの水準をめざすとしている。
現在、首都圏で119店舗を展開しているライフだが、ピロティタイプの店舗数は10数店舗とまだ少ない。国内小売はオーバーストア状態であるうえ、ドラッグストアや外食産業といった他業界・他業態の出店意欲も依然として旺盛だ。ライフに限らず、狭い敷地でも駐車場を確保できるピロティタイプの店舗が、今後の小売業における出店戦略の主役となる可能性は高い。
店名 ライフ本一色店
開店 2019年7月24日
店長 小寺恵一
営業時間 9:30-22:00
建物構造 鉄骨造3階建て
売場面積 1235㎡
年商目標 18億5000万円(2年目)
取り扱いアイテム数 1万1560アイテム
駐車台数 38台
駐輪台数 99台
従業員数 74人(正社員14人、パートナー従業員60人)
レジ台数 8台(うちセミセルフ2台)
イートイン席数 28席