野外空間使って焚き火も体験!開業7年で全国に浸透した「唯一」のアウトドア用品専門SCとは
敷地内で焚火、カヤック、クライミングを体験
高橋氏が続ける。
「モリパークアウトドアヴィレッジにはモリパーク全体への広域集客を期待している。実際に連休や夏休みは東北や九州からも足を運んでもらっている。モリパークを知ってもらうスイッチの役割を果たしている。
オープンから7年が過ぎ、遠方からの客が増え、知名度も上がったと実感している。遠方から来る客は目的を持っているので、特に客単価も買上率も高い。
オープンにあたっては、これからの時代は高齢の方がもっと手軽にハイキングやトレッキングを楽しむのではないかと予測し、広大な所有地の一部にアウトドアに特化した商業施設を置こうと開発した。昭島市は奥多摩エリアの登山コースまで1時間程でアクセスでき、都心から奥多摩に向かうアウトドア愛好者の“ゲート”としてマッチする。
モリパークアウトドアヴィレッジは『山の中を歩いていたらその中にお店があった』という雰囲気や、緑も豊富で広場なども作っているのが特徴。
クライミングやカヤック、焚き火などアウトドア体験が実際にできることも強みだ。SCの敷地内で唯一、裸火(はだかび)が許されている。私の知る限り、これだけ有名なテナントが集い、オープンスペースで本格的な体験を通じアウトドアを好きになり、モノを買っていただく仕組みをもつSCはほかにないと思う」。
奥多摩の登山コースまで電車で1時間 立地特性を生かした宣伝も
モリパークアウトドアヴィレッジが立地する昭島駅は、奥多摩エリアのキャンプ場や山々に向かう愛好者が利用する青梅線や五日市線が停車する。その車内広告や御岳(みたけ)山にあるケーブルカーのヘッドマークに定期的に広告を掲載する一方、敷地内には奥多摩エリアの観光地などのパンフレットやマップを置き、相互送客を狙ったPRを行っている。
この夏は初心者向けに「はじめてのキャンプ教室」を開催したほか、屋内広場に全長75mほどのプールを設営しカヌー体験会も開いた。コロナ禍の影響もありキャンプ場には初心者が来訪するようになった一方で、「マナー問題」も起きている。モリパークアウトドアヴィレッジではキャンプの楽しみ方を伝えながら、単にテントに泊まることにとどまらず、テーマをもって楽しむこと、キャンプは目的ではなくツール(手段)だと発信している。典型的なツールと言えるのが「防災」だ。高橋氏は「キャンプは災害時における、火の起こし方や食事の作り方などに役立つということをアピールしている」と有用性を指摘する。
たまたま遊びに来た時に、キャンプや焚き火、アウトドアスポーツを体験し、興味をもつ人を増やしながら、モノを売っていくモリパークアウトドアヴィレッジ。「体験会などがきっかけでカヌーやクライミングに興味を持ってもらえるかもしれない。日頃体験する機会が少ないものを提供し、これをきっかけに将来オリンピック選手が出てくるかもしれないという夢を持ってイベントを行っている。一度やってみると面白いね、というものをどんどん提供していきたい」。体験が消費を喚起するアウトドア用品と、立地の特性を最大限に生かした運営が強みとなっている。