学生が仕入れて販売するセレクトショップを中川政七商店と三菱地所が始めた理由とねらい
5年後完成のタワー内に常設の大型店も
中川政七商店は「日本の工芸を元気にする ! 」をビジョンに掲げており、若い世代に商売を託すことで、工芸を未来につないでいきたいという思いがあり、昨年1月から三菱地所と話を始めた。三菱地所もTOKYO TORCHが「日本を明るく、元気にする」というビジョンを掲げたプロジェクトであることから、両社の想いが合致。東京のど真ん中で、未来を担う若い世代を主役に、全国の地域とつなぐ地域振興の店を立ち上げることが決まった。
社会主体で育てていく狙いのもと、今年4月から企業サポーターを募集。JTBや店舗内装の船場や丹青社など46社、クラウドファンディングを通じた個人サポーター135人が支援を決定。学生たちの交通費や仕入れのための出張費を支援する。ショップの舞台となる場所は、東京都下水道局から提供された。
1期生18人は今年3月に初顔合わせ。中川政七商店の中川会長や社員による研修を経て、120時間議論し、開店前3カ月にコンセプトを固めた。経営計画の立案やビジョンの策定もした。学生は①プロダクト、②店舗オペレーション、③コミュニケーション―の3チームに分かれて、研修で理論と実践の方法を学んだ。3~7月の研修・準備期間は延べ2640時間に及んだ。
第2弾は北海道・東北で10月5日から新たな店頭に入れ替える。第3弾は中部で12月7日からスタートし、来年2月5日まで展開する。その後、2月8日から関東、4月5日から近畿、6月7日から近畿の地域産品を販売する。
中部チームに所属する立教大学観光学部3年生の池田彩月さん(長野県出身)は「地域を観光の力でどう盛り上げるかと考えていた。まちづくりにも興味があり応募を決めた。今後は休学してこのプロジェクトに打ち込もうと思っている」と話していた。
三菱地所では5年後の2027年度に竣工する地上約390mのTORCH TOWER内に売場面積約400坪の第2期店舗を開設したい考えで、この大型店では47都道府県の地域産品を一堂に展開する計画だ。