日本酒市場、新規ユーザーが手に取りやすい小容量や、食事に合わせやすい商品を訴求

文:石山 真紀(フリーライター・売場研究家)

日本酒カテゴリーは、昨今の物価高の影響もあり、節約志向による大容量品と、純米大吟醸や小容量品という消費の二極化が進んでいる。

長年、中高年層が支えてきた同カテゴリーだが、市場の再活性化を図るには若年層や女性のトライアルを促す施策が重要となる。

日本酒のイメージ
市場の再活性化を図るには若年層や女性のトライアルを促す施策が重要となる(i-stock/kuppa_rock)

純米吟醸酒や原酒は、比較的好調に推移

 KSP-POSデータによると、2024年7月から25年6月の日本酒カテゴリーの期間通算金額PIは、対前年同期比2.3%減の9487.93円、数量PIは同2.9%減の14.72と、金額・数量ともに微減となった【図表】(次ページ)。

 月別の金額PIの動向を見ると、25年5月を除くすべての月で前年割れとなっている。数量ベースも同様の動きとなっており、長引く物価上昇から嗜好品である日本酒の買い控えが起きていると推察される。

 アフターコロナに入り消費者のライフスタイルはコロナ以前に戻りつつあるものの、昨今の物価高の影響もあり節約志向から家飲みを選択する生活者も一定数いる。また店頭で購入する商品も大容量を含む経済酒と付加価値型の消費の二極化が見られている。

 日本酒のカテゴリーは吟醸酒や本醸造、純米酒、にごり酒など、さまざまなサブカテゴリーに分かれている。サブカテゴリー別の数値を見ると、近年は純米大吟醸や山田錦使用など付加価値型の商品の動きがよく、金額PIベースで見ても純米吟醸酒は対前期比4.3%増と前年を上回っている。

 また純米酒、原酒、その他清酒についても、金額PIが前年を上回っており、こうした好調のサブカテゴリーをうまく訴求し、トライアルを促すことがカテゴリー再活性化の糸口になるだろう。

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