カレー市場、簡便や本格ニーズに対応した商品の登場で ルウカレー市場は安定感を維持

文:山田 陽美

有名店監修商品などラインアップが充実

 レトルトカレー市場はこれまで堅調な成長を続けてきたものの、24年度はその成長速度が鈍化した。レトルトカレーの期間通算の金額PIは4466円で対前年同期比0.1%増、数量PIは21.93で同1.7%減。金額PIは6月と8月を除くすべての月で前年割れとなった【図表2】

図表2 レトルトカレーの金額PIおよび金額PI対前年推移

 レトルトカレー市場は、ご当地カレーや有名店監修の商品、本格的なスパイスを使用した商品、具材にこだわった高付加価値商品、さらに低カロリー、減塩など健康志向商品など、幅広いラインアップが特徴。近年は電子レンジ対応の時短調理型商品も充実し、利便性が高まっている。

 メーカー各社の取り組みも活発で、エスビー食品は、東京・表参道にある唐辛子料理専門店監修の激辛メニューが手軽に味わえる「赤い壺監修 本辛ビーフカレー」を春夏限定で発売。

 ハウス食品は、東京・荻窪の名店「欧風カレー&シチュー専門店トマト」監修の「選ばれし人気店 スパイス織りなすビーフカレー」を展開するなど、ブランド力や専門店の味を生かした高付加価値商品を提案している。さらにハウス食品レトルトカレー史上最大の肉量を誇る「カレーでニクる。」を発売。肉を堪能できるレトルトカレーとなっている。

 また、コストパフォーマンスを重視した3~4袋入り商品の需要も堅調だ。ストック性が高く、家計への負担軽減につながることから人気を集めている。主な商品には、ハウス食品の「プロクオリティ ビーフカレー4袋入り」、エスビー食品の「ホテル・シェフ仕様 欧風ビーフカレー4個パック」、日本ハムの「レストラン仕様カレー4袋入り」、丸大食品の「ビストロ倶楽部」などがある。

 市場は横ばい傾向が続くものの、食における時短や簡便化志向は今後も高まる見込みで、レトルトカレー市場は安定成長が期待される。

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