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物価高でPBに変化と進化の兆し 「買いたくなる」商品の条件とつくり方とは

小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
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SPAが実現する独自性、「外販」の可能性も

 「独自性」という観点で強いのが、SPA(製造小売)型の商品開発だ。これまでも本誌ではSPA企業の強さについてレポートしてきた。

 たとえば前出の神戸物産はM&A(合併・買収)でメーカーを次々と傘下に収め、「食の製販一体体制」のもと、他社にないユニークな商品を次々と送り出し、支持を獲得している。

神戸物産のPB商品
「独自性」という点で強いのは、自社で製造機能を抱えるSPA勢だ。その代表格、神戸物産では物価高でもユニークな商品を次々と開発し、支持を拡大している

 急速出店で業界中の注目を集めるロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)も、食品メーカーや卸を相次いで買収し、製造機能をグループ内に取り込んでいるSPA企業だ。ターゲットに据えるヤングファミリーに向けて「尖った」商品を続々と投入し、一般的な食品スーパーでは考えられない広域からお客を呼び込むことを可能にしている。

 中間コストの削減、ニーズ変化への迅速な対応などSPAのメリットは多いが、最大の強みはやはり、「脱競争PB」を生み出せるという点だ。他チェーンにはない高い独自性を持ったPB商品があれば、「このPBがあるからこの店に行く」という状態をつくることができる。強いブランド力を持ったNB商品と売場内で競合することもなく、競争自体を回避できるというわけだ。当然、価格競争にも巻き込まれない。

 それだけではない。本特集では、後述する「CGC商品」を調査するため、茨城県地盤のローカルチェーン、タイヨー(森田剛社長)の店舗を調査しているが、そこでは北海道を本拠とするコンビニエンスストア、セコマ(北海道/赤尾洋昭社長)のPBの牛乳を販売していた。

 セコマも創業時からSPAを志向してきた企業の1つ。国内マーケットが人口減少で縮小に向かう中、自社の商勢圏だけで成長し続けるのは限界がある。独自性の高いPBがあれば、他チェーンあるいは海外への「外販」という可能性も拓けてくる。

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記事執筆者

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

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