成長株の「健康・機能性食品」売れ筋トレンドを読み解く4つのキーワード

文:石山 真紀(フリーライター・売場研究家)

マーケットトレンド②たんぱく補給食品
【プロテインブーム以降も堅調に推移 たんぱく訴求コーナーでトライアルを促進】

アイテム数の拡大により
小幅ながら需要拡大続く

 富士経済によると、たんぱく補給食品の2024年の国内市場(見込)は対前年比2.8%増の2763億円となった。

 【図表】のたんぱく補給食品の国内市場推移を見ると、15年に各種メディアからたんぱく質の重要性が発信されたことで、たんぱく補給ブームが発生。筋トレをはじめとした軽い運動の習慣化やインフルエンサーによるプロテインの紹介が増加したことも、新規ユーザーを取り込むきっかけとなった。

【図表】たんぱく補給食品の国内市場推移

 コロナ禍に入ってからも、コロナ太りの解消需要が発生したほか、メディアやインフルエンサーを通じた情報発信によりトライアルが増えたことで、21年までは前期比10%を超える大幅伸長が続いた。

 22年以降はブームも一段落し、メディアの露出減少やライトユーザーの離脱がみられる。しかし、プロテインについてはヘビーユーザーを中心に引き続き需要が増加。また、毎日の食生活に取り入れやすいめんやスープ類、ソーセージなどの食事メニューや、栄養素をバランスよく含むシニア向けの経口栄養流動食など、加工食品タイプのたんぱく補給食品も増加傾向にある。

 プロテインについても、ライトユーザーがたんぱく補給の重要性を感じてリピーターとなるケースや、プロテイン入りのバーや、パウチタイプのゼリーユーザーがコストパフォーマンスの高い粉末タイプのプロテインへシフトする動きもみられている。

加工食品タイプの増加が
市場の拡大に貢献

たんぱく質がとれる商品
左からフジッコ「朝のたんぱく おまめさん」、日清食品「カップヌードルPRO 高たんぱく&低糖質さらに塩分控えめ」、はごろもフーズ「ディッパーシーチキン+Beansマヨネーズタイプ」、ニチレイフーズ「everyONe meal」

 ユーザーの拡大に貢献しているのがたんぱく質を豊富に含む加工食品の存在だ。ニチレイフーズの「everyONe meal」は素材の味や香辛料を生かした調理法で配合をコントロールする独自の「おいしさ再現技術」を採用した新ブランド。100g当たりたんぱく質を9g以上配合した、毎日の食事で手軽においしくたんぱく質が摂取できるメニューを幅広く展開する。

 フジッコは「おまめさん」シリーズから朝食のおかずでたんぱく質を手軽に摂取できる「朝のたんぱく おまめさん7品目の味わいやさい豆」「同 7品目の味わいひじき豆」の2商品を3月に発売した。

 日清食品は好調に推移する「カップヌードルPRO 高たんぱく&低糖質」シリーズの中身を改良。新製法により“高たんぱく”“低糖質”に加え、塩分25%オフを実現した「カップヌードルPRO 高たんぱく&低糖質さらに塩分控えめ」としてリニューアル発売する。はごろもフーズはプラントベースフードとシーチキンを配合した小分けのマヨネーズタイプ「ディッパーシーチキン+Beansマヨネーズタイプ」を2月に発売している。

 たんぱく補給食品の市場は現在も堅調に推移しており、今後も小幅ながら拡大が続くと予想されている。商品ラインアップも豊富であることから、たんぱく補給食品を集積しコーナー化するなど、来店客の目に留まる工夫をすることでトライアルの獲得につなげていきたい。

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