バイヤー教育の本質は、「PDCAサイクル」の意識づけである
食品スーパー(SM)の青果部門から多く聞かれるのが、「バイヤー教育」の方法だ。新人バイヤーを育成するために、部門として、または企業全体として何が必要なのか。今SMに求められる、バイヤー教育のための体制づくりについて解説しよう。
自社のコンセプトが教育の基盤に
最近はよく、SM各社から「バイヤーの教育をしてほしい」と依頼を受けることがある。しかし抽象的な依頼内容であることも多く、そうしたSMほど、企業の軸となるコンセプトが定まっていない傾向にある。
バイヤー教育において最初に考えるべきなのは、店づくり・売場づくりをどの方向で進めていくかだ。よく「ワクワクするお店をつくる」といった抽象的なスローガンを耳にするが、それが示すのが価格政策なのか、品揃えの方向性なのか、または社員の行動規範なのか、現場へ具体的に落とし込めていないケースが多い。

会社として掲げたコンセプトが不明確なままバイヤー教育を進めても、教える内容が定まらない。たとえば、自社が「安さ」を追求するのか、「価値」を重視するのかで、仕入れる商品も教えるスキルも変わってくる。コンセプトを現場の業務に具体的に落とし込むことで、各部門がめざすべき売場像が見えてくる。これができて初めて、バイヤー教育の枠組みをつくったことになる。
私がかつて在籍していたSMでは、「個店経営・全員参加」の方針のもとで売場を運営していた。これは経営手法であると同時に、教育の考え方でもあった。社員一人ひとりが考え、行動し、全員でお客のニーズに応える。そうした会社の基盤となるコンセプトがあり、現場に落とし込めていたからこそ、各部門で何をどのように取り組むのかがはっきりしていた。だからその会社では、バイヤーを育成できる環境が整っていた。
バイヤーの仕事は「人を動かすこと」
また、企業によってはバイヤー教育の一環で外部のセミナーを受講させるケースもあるようだ。しかし、
この記事でわかることは
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