環境保護や健康維持などのニーズによって、にわかに「植物置き換え食品」が注目を集めている。ビーガン食や糖質制限食の流行にみられるようにヘルシーさが重視される昨今、植物置き換え食品市場は2008年頃から成長を見せており、2023年には約5兆8000億円規模にまで拡大するともいわれている。また、植物置き換え食品は環境保護や将来の人口増加による食糧不足への備えとしても有用だ。
イオン(千葉県/吉田昭夫社長)が本格展開する植物置き換え食品「Vegetive」シリーズは、この流れをリードすることができるか。
味へのこだわり
10月6日よりイオンが本格展開する「Vegetive(ベジティブ)」シリーズは、肉・乳など動物性の原料を植物性原料に置き換えた製品。例えば、 ひき肉を大豆原料に、生乳を豆乳やココナッツオイルに置き換えている。
こういった置き換え食品でネックになりがちなのが、味や食感、食べごたえだ。イオンでは同シリーズの開発にあたり、入念なモニターテストを行い、可能な限り本物の味や食感に近づけることに注力。特に違和感が生じやすい肉と大豆原料の置き換えをした「大豆からつくったハンバーグ」では、より「本物らしさ」にこだわった。その結果、消費者からは「本物のハンバーグよりも食べごたえがある」「大豆なのにちゃんとおいしくてイメージが変わった」などポジティブな反応が寄せられたという。
「攻め」のラインアップ拡大をめざす
同シリーズのラインアップは、現在6品目。ここに新たに「ひよこ豆と玄米からつくった スパゲッティタイプ」(240グラム、税別298円)、「豆乳からつくった クリームソース」(80グラム、128円)、「大豆からつくった ボロネーゼ」(80グラム、128円)の3品目を加え、合計9品目にラインアップを拡大する。もともと早期の本格展開を目指し既存6品目は3月下旬に発売されていたが、新型コロナウイルスの流行状況などを考慮し、今回新しく3品目が追加となるタイミングで本格展開に踏み切った。
今後はニーズに合わせ積極的に商品展開を行う方針だ。植物置き換え食品は今後ますます需要が高まると予想され、市場そのものの拡大を狙う「攻め」の姿勢を重視する。
本格展開発表後、販売量は前週比140%ヘ
本格展開の発表が行われた9月30日以降、シリーズの主力商品である「大豆からつくったハンバーグ(バジル香るコク旨なトマトのソース、焦がし醤油香る玉ねぎソースの2品目)」の販売数は前週比140%となった。植物置き換え食品に対する世間の関心の大きさを物語っているといっても良いだろう。
同シリーズは全国のイオン系列店約2000店舗で展開される。より身近に、手軽に普段の生活に取り入れてもらうことができれば、植物置き換え食品市場において大きなリードを握ることができそうだ。