その売り方は本当にお客様に届いているか? 買いたくなる習慣の広げ方・下
次の手法は「ロゴマークをつくる」です。生活者が関心をもつ情報は限られています。だからこそ、広告をつくる現場でも、企業の担当者は、少しでも商品に関心をもって好きになってもらうにはどうすればいいのか日々頭を悩ませているのです。同様に企業のロゴマークも一部の熱狂的ファンのいる企業を除いて、生活者はあまり関心をもってくれません。
企業色のないロゴマークをつくる
事実、企業のロゴマークがデザインされたTシャツを着ている人を街で見かけることは少ないでしょう。習慣も企業のロゴマークと一緒に広げるよりも、生活者が自分たちのモノだと思ってくれる「象徴的で企業色のない別のロゴマーク」とともに広げるほうが効果的です。
例えば、LGBTの人たちの象徴であるレインボーフラッグ。ダイバーシティを象徴する6色の旗は、旗という形を越えて、TシャツになりSNSのプロフィール画像になりイベントのツールになっています。
まさに、多様性を支持する習慣と意思を表明するロゴマークが、生活者のプライドになって、さまざまなシーンで活用されています。他にも、シンプルがゆえに効果を発揮するロゴマークもあります。スマートフォンの機内モードのロゴマークを思い浮かべてください。飛行機の形が抽象化されたロゴマークが使われています。あのロゴマークがあるからこそ、飛行機内では電波をオフにする習慣を、直感的に想起することができるのです。
このように新しい習慣においても、企業色がない独立したデザインのロゴマークをつくることで企業イメージに左右されることなく、習慣に賛同する味方を巻き込むことができるのです。例えば、寝る前にガムを噛む習慣を広げていきたいとします。
この習慣を企業のロゴマークを使って広めようとすると、NPOや医療機関が習慣に賛同してくれたとしても特定の企業に肩入れしているように受け取られて、活動が広がりにくくなるリスクがあります。また、企業色のないロゴマークであれば、生活者もSNSなどで発信しやすくなります。特定の企業を応援するよりも、共感する行動や習慣を応援するほうが、心理的なハードルが低くなるのです。