環境変化、食スタイル変化をとらえた鍋の提案を!
長引く残暑と食スタイルの変化で、従来の鍋シーンに変化が見られる。立ち上がりのタイミングや鍋を楽しむスタイルが、今までの鍋シーンと異なることに着目し、その変化をタイムリーに取り込んで対応したい。

課題1 鍋を食べるテーブルシーンが変わった!
従来の鍋シーンは、冬の団らんの象徴で、「家族でひとつの鍋を囲むスタイル」が一般的だった。しかし、単身世帯や共働き世帯の増加により、鍋を個々で食べる需要が増加し、一人鍋やおかず型鍋など新しい鍋シーンが拡大。
鍋の喫食について調査すると、カセットコンロをテーブルに出して鍋を囲む人は27%にとどまる(表1)。つまり、テーブル調理型からテーブル個食型へ、ふだん使いの鍋やフライパンで調理する鍋へ、鍋のスタイルは変化している。
課題2 鍋商戦スタートの遅れをどうカバーするか?
残暑が長引き、秋が短くなる中で課題となるのが、鍋商戦の本格的なスタート時期である。諸説あるが、一般的に最低気温がコンスタントに20℃を下回り、15℃に近づくにつれて鍋の需要は急上昇すると言われている。昨年は10月上旬でも最低気温が20℃前後で推移しており(東京・図1)、経年で見ても気温は高くなっている。
昨年10月、チラシに掲載された「鍋」の件数は、2022年と比較して7割程度に減少(表2)。小売各社は、従来9月末~10月上旬頃からスタートさせていた鍋プロモーションを遅らせたと思われる。実際に鍋がチラシのメーン企画となるのは、各社とも10月第3週以降。鍋の本格的な展開期間は短くなっている。
2025年の鍋商戦の戦い方
気温上昇で鍋の展開期間が短縮されるのであれば、鍋の実施頻度を上げる施策を組み込み、シーズントータルで鍋の実施機会を創出する必要がある。
①「平日の鍋」提案を拡大し、 鍋の実施機会を高める
たとえば鍋の個食化も考慮した、「コスパ材料でつくるおかず型鍋」の提案を拡大。生鮮の少量パックやPB商品などで価格優位性を出しながら、平日のメニュー決定要因につなげる。その際重要なのは鍋の名称にこだわらないこと。「〇〇鍋」ではなく「〇〇(具材)の鍋風メニュー」で、具材を優先した簡便性とコスパを強調する。
②シーズン通して注力する「週末の鍋」は、 連続しても飽きない工夫が必要
鍋が毎週続くとマンネリ化しやすい。ファミリーユースが多い週末の鍋は材料単価も高く、売上増につながるため、連続しても飽きない提案が重要である。すき焼き、寄せ鍋などの王道の鍋は、行事時期に向けて重要なセグメント。それらを飽きさせないために、「鍋らしくない鍋」「チャレンジ意欲を高める鍋」の提案を拡大する。
たとえば、冷製スンドゥブ(残暑時の鍋提案)や、ラーメン鍋、豚汁鍋(気温に左右されにくい)、ご当地鍋(ふるさと納税で認知拡大)、海外の煮込み料理風の鍋(鍋アレンジ)など、定番鍋に新しい切り口を挟み込んで、週末の鍋計画を組み立てる。
気温の推移も想定し、鍋の新しい切り口の提案で、実施意欲を高めることが2025年鍋商戦のポイントである。









青果MDの基本は、「主役」を立てること!

