食品スーパーの現場に特化したシューズ開発も! ミズノの「ワークビジネス戦略」好調の理由
「クーリング・ボディマップ」に基づき効率的な冷却を実現
昨今の猛暑を受け、注力しているのが暑熱対策だ。ミズノは近年、ファン付きベストやネッククーラーなど、熱中症対策に特化したアイテムのラインアップを強化。ファン付きのアイテム自体は他社製品も多く出回っているが、同社の製品は空気の流れを「首・脇・裾」など人体の冷却効果が高い部位に重点的に設計しており、効率的な換気と冷却機能の高さで差別化している。
これに加えて、24年6月には次世代のクーリングギア「アイスタッチデバイス」シリーズを発売。同シリーズは電流を流すと冷却する「ペルチェ素子」を搭載しており、ベスト型の「アイスタッチデバイスベスト」、首巻き型の「アイスタッチデバイスネック」、頭部冷却用の「アイスタッチデバイスインナーキャップ」の3種をラインナップ。とくに冷却効果の高い首元や頭部を集中的に冷やす仕様となっている。
これらの製品は、科学的根拠に基づいた効率的な冷却設計がなされている。ミズノでは、アスリートの体温調整メカニズムに着目し、身体の各部位を冷やした際の効果を可視化した独自設計「COOLING BODY MAP(クーリング・ボディマップ)」を開発し、ワークウエアにも応用した。同シリーズを自社ECサイトで販売したところ、「アイスタッチデバイスベスト」はわずか5日間ほどで完売。現場からのニーズの高さを裏付ける結果となった。


小売業向けのシューズをサミットと共同で開発
ミズノのワークビジネス事業において確固たる人気を誇るのがワーキングシューズだ。25年1月に発売された「オールマイティ LL 11L」は、建設業や運輸業といった重作業を伴う現場向けに開発された新モデルとして注目を集めている。
同商品は、ミズノのワーキングシューズとしては史上最軽量となる仕様で、26.0cmサイズで片足約295gの軽さを実現。日本保安用品協会(JSAA)のA種規格をクリアする安全性も備えている。
これまでは主に建設業、運輸業などに向けワークシューズを展開してきたミズノだが、近年は小売業向けの商品開発にも本格的に着手している。その象徴となるのが、24年7月に発売した「FREEROAD EU 31L」だ。

このモデルは食品スーパーのサミット(東京都/服部哲也社長)と共同企画し、食品小売業で想定されるあらゆるリスクに対応した仕様となっている。アウトソールの溝には油や水で滑りやすい床面での転倒リスクを最小限に抑えるべく、液体がたまりにくい意匠を施した。接地面には鏡面仕上げを施し、床との接地面積を増やすことで高い耐滑性を確保。さらに、靴底をつま先が上がるようなソール形状にすることで、つまずき防止にも配慮している。第三次産業における労災の約4分の1を占めるとされる転倒事故への対策として開発された商品である。
ミズノでは小売業に続き、製造業など他業種へのワークウエア展開にも意欲を見せている。製造現場で使用されるワークウエアは、高い耐久性が求められることから、今後はポリエステル以外の素材開発にも注力し、「製造業向けにアピールできる商品を組み立てていきたい」と宇野氏は意気込む。






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