全国80万の飲食店が「メディア」に? ぐるなび×エプソンが手掛ける「ミセメディア」の可能性
導入の初期費用はかからず、定期的に広告収入を得られる

ミセメディアの立ち上げは、2023年2月に開始した実証実験にさかのぼる。飲食店の場を「メディア」として位置づけ、食品メーカーや飲料メーカーのCMや、飲食店のおすすめメニューなどの映像を店内で1か月間配信したところ、明確な数字が表れた。
来店客の平均視認率は68.4%と高い数値となり、5分以上の視聴は65.6%。加えて、「商品を買いたくなった」「食事中に商品について会話になった」など何らかの行動・意識変容を示した来店客は実に70%に上った。
さらに、1店舗で1日に回収したアンケートの平均回答数は74件。来店客のデータも得られ、さらなるマーケティングやプロモーション施策に活用しうる可能性も見えてきた。
この実証実験での結果を受け、ぐるなび・エプソン販売の両社は2025年1月にミセメディアを正式リリース。石川県とのコラボレーションにより、東京都内および横浜市内の32店舗で「とり野菜みそ」「のとジン」のプロモーションを開始した。

ところで、店内を「メディア」として使う飲食店側の反応はどうだろうか。
「はじめに相談を受けたときは、飲食店で映像に注目してもらえるだろうか?と疑問に思った」
「博多ほたる 麻布十番店」の吉田伸之店長は、そう言う。実際、実証実験を経験してみると「お客さまとのコミュニケ―ションのきっかけになるだけでなく、来店客からすると映像が注文しやすさにつながっている」。さらに、広告収入が定期的に得られる点もメリットに挙げる。「飲食店には、繁閑にかかわらず従業員を雇用し続ける責任がある。これまでの料理やドリンクを提供して対価を得るだけでない収入のチャネルがあるのは非常にありがたい」(同)
ちなみに、店内にCMが流れることに対して、常連客などからクレームは入らないのか。率直に尋ねたところ、「今のところそういったクレームはない」とのことだ。





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