一時閑散も…90年代「裏原ブーム」の震源地は今どうなっている?

2024/10/09 05:56
堀尾大悟
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ナイキの「エアマックス95」、レッドウィングの「アイリッシュセッター」、「グッドイナフ」「アンダーカバー」「ア ベイシング エイプ」などのストリートブランド……かつて90年代にストリートファッションの“震源地”となっていたのが、明治通り裏手のキャットストリート(旧渋谷川遊歩道)を中心とした通称「裏原宿」エリアだ。

その後も時代の流れとともに流行は変わりつつも、日本のみならず世界のファッションの「聖地」であり続けている裏原宿。新型コロナウイルス禍を経て、その「裏原」を中心とした原宿の今はどうなっているのか。自らもかつてアメカジやゴスロリのショップを運営し、30年以上にわたってこのエリアを“定点観測”し続けてきた、原宿神宮前商店会会長の早川千秋氏に聞いた。

タピオカ屋が消え、古着屋が増えた「ウラハラ」

ウラハラプロジェクトのイメージビジュアル
ウラハラプロジェクトのイメージビジュアル

――新型コロナウイルス禍が明けた、今の原宿の現状についてお聞かせください。

神宮前商店会の管轄エリアを含む、いわゆる「裏原宿」エリアでいうと、コロナが拡大する直前の2019年までは空前のタピオカブームで、タピオカ屋があちこちに立ち並んで大変なにぎわいを見せていた。

ところが、2020年に入ってコロナが一気に広まると、タピオカ屋も含めた店舗が軒並み退店して空き家が続出し、一転して閑散とした状況になってしまった。

もともとこのエリアは90年代の「裏原ブーム」の拠点にもなったファッションの聖地。その、世界が注目する裏原宿をもう一度盛り上げていこうと、私が商店会長になったタイミングの2021年6月に「ウラハラプロジェクト」という任意団体を立ち上げた。かつての裏原ブームを牽引したクリエイターたちに声をかけたところ、100名近くの人が賛同して集まってくれた。

その矢先、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行してコロナ明けのムードが高まると、今度はそれまでの空き物件が次々に成約し、あっという間に埋まっていった。裏原宿を再び活性化させようと思ってプロジェクトを立ち上げたのだが、結果として勝手に活性化したような格好になった。

――新たに入居した店舗はどんな業態が多いのですか。

目立つのは古着屋だ。大阪を拠点とする古着専門店の「JAM」などは、この間に原宿エリアに100坪規模の店舗を2店舗もオープンした。キャットストリートも今はほとんどが古着屋になっている。90年代に流行したアメカジやストリートファッション、Y2Kファッションが1周回って若者や外国人観光客に受けている。

また、中国の「シーイン」など外資のアパレル企業の店舗も増えた。外資のほうが家賃対応できる印象だ。ユニークなところではフェンダーの「FENDER FLAGSHIP TOKYO」(20236月)やローランドの「Roland Store Tokyo」(同年10月)など、楽器ブランドの旗艦店も原宿エリアにオープンした。

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