睡眠サポート市場、「睡眠の質」を意識する消費者増加でトライアルが進む
昨今の健康志向の高まりを受けてユーザーが拡大している健康・機能系の食品群。今期は「糖質オフ・ゼロ系ビール類」「睡眠サポート」「たんぱく補給食品」「脂肪・コレステロール値改善」の4つのカテゴリーを取り上げ、トレンドを探る。
関連商品の市場規模はコロナ禍明けも大幅伸長
富士経済によると、健康志向食品(明らか食品、ドリンク類)の2023年の国内市場規模(見込み)はコロナ禍明けで人流増加が本格化したことも影響し、対前年比4.9%増の1兆7243億円となった。
健康志向食品には、美容効果や滋養・強壮、スポーツサポートなどさまざまなサブカテゴリーがあるが、中でも好調だったのが睡眠サポートのカテゴリーだ。23年の睡眠サポート関連の国内市場規模(見込み)は、対前年比47.7%増の768億円と今期も大幅伸長している【図表】。
同カテゴリーは15年に開始した機能性表示食品制度により、「睡眠の質向上」などの機能を明確に表示できるようになり、メーカー各社の商品開発が進んだことで形成された。コロナ禍以降は生活習慣の乱れなどにより睡眠に関する悩みを抱える消費者が増加。
睡眠の質向上に対する関心が高まり、多くのメディアから睡眠対策情報が発信されたことで需要が顕在化した。その火付け役となったのが、ヤクルト本社の「Yakult1000」「Y1000」。同品が各メディアに取り上げられたことで爆発的なヒット商品となり、市場は一気に拡大した。
23年に入っても消費者の睡眠に対する関心は引き続き高く、睡眠サポートを訴求する食品・飲料も消費者に浸透しつつある。
性年代問わず刺さるヘルスクレーム
睡眠サポートの注目度が高いこともあり、同カテゴリーへの参入メーカーが増加、新商品の発売も活発になっている。
ヤマモリの「GABA100睡活ビネガー」は醸造過程で生まれた乳酸菌が作り出した独自素材のGABAを使用。「睡眠の質(眠りの深さ)を向上させ、すっきりとした目覚めを得ることに役立つ機能」、「仕事や勉強による一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する機能」、「血圧が高めの方の血圧を下げる機能」というトリプルヘルスクレームの機能性表示食品となっている。
アサヒビールのノンアルコールのカクテルテイスト飲料「アサヒスタイルバランス」の「グレフルサワー」はGABAを配合することで一時的な疲労やストレスを感じている方の睡眠の質(眠りの深さ)の向上に役立つ“睡眠サポート”の機能性表示食品としてリニューアルを行った。
キリンビバレッジの機能性表示食品「キリンおいしい免疫ケア睡眠」は、GABAによる“睡眠の質向上”とプラズマ乳酸菌による“免疫ケア”をサポートする飲料として発売から3週間で年間目標の約5割を販売し好調に推移。
アサヒ飲料では「カルピス」ブランドのヘルスケア新シリーズ「PLUSカルピス」より、「PLUSカルピス睡眠・腸活ケア」を展開。同品に含まれるガセリ菌CP2305株は、心理的なストレスを和らげ、睡眠の質(眠りの深さ)を高める機能、また腸内環境を整える機能があることが報告されている。
富士経済による睡眠サポート市場の25年予測は、対22年比で88.8%増の982億円。同カテゴリーのヘルスクレームは性年代問わず幅広い層に刺さりやすく、今後も市場の拡大が期待できそうだ。