今夏、流行の冷菓はパフェ 「進化系&夜」をキーワードに多業態から続々登場!
また、化学研究用品のシャーレを一回り大きくしたような底の浅いガラスの器を使うパフェも増えている。器の経口が広いため、表現が多様だ。
大阪・西長堀のテイクアウト専門店「デザート・プレイス・シキサイ」では、夏の夜空を彩る花火をイメージしたパフェを提供する。
また東京・上野毛のカフェ「ラトリエ・ア・マ・ファソン」では底の浅い四角いガラスの器を使い、印象派の画家・モネの庭の池を表現したパフェが。さらに同店では液体窒素を下皿に仕込んで煙を出し、「里山の朝もや」を表現した商品も提供するなど演出も凝っている。
このように叙情的な表現も増えており、それらがレストランのデセールではなく、パフェ専門店、スイーツ専門店で提供していることも近年の特徴だ。
夜しか食べられない特別感
そしてもう一つ、注目したい動きが②ブームよ再び!?「夜アイス・夜パフェ」だ。
2020年、大阪・八尾にできた「21時にアイス」は16時30分〜24時の「夜アイス」専門店。使い捨てのカップに、ソフトクリームやソース、フルーツなどで作るソフトクリームパフェを提供する。
この店を発端にして「パフェより手軽でソフトクリームより豪華に」をキャッチコピーにし、大阪と京都に展開する「夜行アイス」、兵庫・板宿の「アイスるんです」、兵庫・姫路の「アイスは別腹」など、続々と夜パフェ・夜アイスの店が登場している。
いずれもソフトクリームを中心とし、ソースやトッピングのフルーツなどで変化させる商品が多く、カップに盛ってスプーンで食べるパフェスタイル。カップの底にはコーンフレークやオートミールなどを忍ばせる店もあり、懐かしい昔のパフェのよう。営業時間は夕方16時頃から深夜までだ。
特に関西の郊外に多く、「21時にアイス」は昨年名古屋に、今年は東京都に出店し、全国に広がっている。またSNS上では「夜パフェ・夜アイス」を食べられる時間をまとめた投稿まで登場。経営母体は居酒屋チェーンや学生起業など様々で、冒頭の札幌を発祥とした「シメパフェ」ブームとの違いは、専門店化していることだ。
流行の背景には、夜にしか空いていない特別感や「背徳スイーツ人気」というムーブメント、外食の機会が減る中、食後や飲んだ後のシメとしてのプチ贅沢、そして店が郊外にあることや深夜まで空いていることに加え、コロナ禍で飲み会よりも少人数で出かける機会が増えたことなどから「ドライブの目的地として行って、車内で食べる」といった使い方が増えていることが挙げられる。
前者の嗜好品としての工芸品のようなパフェはだいたい1食2000〜3000円だが、後者の夜アイス・夜パフェは650円〜1000円。芸術性、表現をもたせたパフェからカジュアルに夜に食べるパフェまで、多様なパフェの動きに今後も注目したい。