ロカボで三方よしの社会を実現、スーパーから健康な世の中をつくっていく!=MD EDTION

室作 幸江
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健康志向を背景に、緩やかな糖質制限を行う「ロカボ」の認知は進んでいるが、一方でさまざまな誤解もある。ロカボの普及に取り組む一般社団法人 食・楽・健康協会では、そうした誤解を解くために新たな「ロカボプラスマーク」を制定。流通業界と連携しながら、おいしく楽しく食べて健康になる社会をめざす。

「ロカボ」の食事法は、おいしく楽しく適正糖質

健康のイメージ
ロカボの普及に取り組む一般社団法人 食・楽・健康協会が新たな「ロカボプラスマーク」を制定。流通業界と連携しながら、おいしく楽しく食べて健康になる社会をめざす。 i-stock/west

 そもそも糖質とは、三大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)のひとつ、炭水化物に含まれるもので、血糖値を上げる原因といわれている。この糖質の取り方に着目し、未病をめざした食事法が「ロカボ」だ。“極端な糖質抜き” ではなく、“おいしく楽しく適正糖質を取る”ことを推奨するもので、北里研究所病院 副院長・糖尿病センター長の山田悟氏によって提唱された。

北里研究所病院副院長・糖尿病センター長 山田 悟氏
北里研究所病院
副院長・糖尿病センター長
山田 悟氏

 「1食あたりの糖質を20~40gに抑えたものを3食と、これとは別に1日10gの間食を楽しむ。つまり、1日あたりの糖質量を70~130gにコントロールする食事法です。緩やかに糖質摂取を管理することで、血糖上昇を抑えることはもちろん、メタボ予防やダイエットなどさまざまな効果が期待できます」(山田氏)

 こうしたロカボの考え方を広く普及させようと、山田氏は2013年に一般社団法人 食・楽・健康協会を設立。これに賛同し、ロカボパートナーとして同協会に加盟する企業は年々増え、いまや140社近くにまで上る。さまざまなカテゴリーでロカボ商品が開発されるなか、消費者がそれらを認識して購入できるようにロカボマークが16年に誕生。マークの付いた商品を選ぶことで、ロカボライフを実践しやすくなるとともに、ロカボの認知が一気に高まった。

いまだに広く浸透するロカボや栄養学への誤解

 ロカボライフを実践する生活者が増える一方で、「糖質だけでなく脂質やエネルギーもともに制限すべき」などロカボの概念について誤解も生じている。加えて、「人工甘味料は体によくない」、「動物性脂肪(飽和脂肪酸)は控えるべき」といった栄養学上の誤解もいまだに広く浸透したままだ。

 「かつてはカロリー制限こそが健康の源であると考えられていました。しかし、10年以上前にイスラエルで行われた試験ではそれが一転。カロリー制限した場合と緩やかに糖質制限した場合とを比較すると、緩やかに糖質制限しカロリー無制限で食べたほうが肥満の改善効果が高いことが示されたのです。カロリー制限によって骨密度の低下や貧血、筋肉量の低下も報告されており、最新の研究ではカロリー制限が健康に有害であることが明らかになっています」(山田氏)

 油についても然り。「健康のために食べる油を控えるべき」といわれたのは昔の話。最新の栄養学では、血糖の上昇を抑えるためには、たんぱく質や油の摂取を増やすことが重要であることをさまざまなデータが明らかにした。こうした科学的根拠に基づいた正しい知識を伝え、世の中に存在する誤解を解きたい。そして、適正糖質と併せて必要な栄養素の補給もきちんと意識してもらいたい。そんな思いから、山田氏が率いる一般社団法人 食・楽・健康協会(以下、食・楽・健康協会)が取り組んだのが、ロカボプラスマークの作成だ。

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