2021年春・夏 新商品ヒットランキングー生活者のインサイトをとらえた、おうち時間を豊かにする商品が上位へ

石山 真紀(フリーライター・売場研究家)
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若年層や男性ユーザーなど、新たな顧客をつかむことでヒット

 コロナ禍以降、生活者の健康志向はさらに高まっており、なかでもおいしく続けやすい商品の伸びが顕著だ。CJ FOODS JAPANの100%果実発酵の酢からつくった「美酢(ミチョ)」はその代表例。今年3月に発売した新フレーバーの〈みかん〉は、一時欠品するほどの人気となった。

 明治の「明治北海道十勝ミルクきわだつヨーグルト」は「十勝ミルク乳酸菌TM96」と北海道十勝産の良質な生乳で丁寧に発酵させたヨーグルト。安定剤・香料無添加ながら、しっかりとしたミルクのコクを味わえるヨーグルトとなっている。

 大塚食品の「マッチゼリー ミネラルライチ PET260g」は手軽にミネラルをとることができる炭酸入りのゼリー飲料で、ぷるぷるシュワシュワの食感が若年女性に人気だ。

 コロナ禍においては、冒険をせず安定したブランドや商品を選びたいという生活者の意向があり、そこから誰もが知るロングセラーブランドの商品が動く傾向にある。今期に関してはロングセラーブランドのブラッシュアップや、フレーバー追加といったエクステンション裔品の発表も多くみられた。

 日清フーズでは、内食機会の増加に伴い伸長する冷凍パスタの中でも男性ユーザーからの人気の高い「マ・マー大盛りスパゲティ」を、よりボリューム感を表現したパッケージにリニューアル。第一屋製パンの「アップルシナモンロール」は高級感のあるパッケージに変更したほか、アップルフィリングの増量を行っている。ヤマキ「ストレートそうめんつゆ」は10年ぶりのリニューアルでだしのうま味や風味がさらに向上。井村屋では「お赤飯の素」「赤飯用あずき水煮」ともに北海道産小豆に変更している。

 エクステンション商品の括りで見てみると、ペットボトル飲料では日本コカ・コーラの「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」、サントリー食品インターナショナルの「伊右衛門 京都ブレンド600mlペット」がリモートワークのビジネスパーソンらに支持され好調に推移。日本ルナ「ASIANSTANDいちごラッシー240g」は王道のいちごフレーバーで幅広い客層をつかみ、カンロの「塩カンロ飴140g」は60年以上続く超ロングセラーブランド「カンロ飴」の新フレーバーとしてSNSでも話題となった。発売40周年を迎えた理研ビタミンの「リケンのわかめスープ」は3種のアソートパックの投入によりライトユーザー獲得に成功。マルハチ「若もぎ小茄子カップ」は賞味期限が長く便利なカップ形態にすることで若年層の支持も集めている。

 コロナ禍においてはSMの主要購買者である主婦層だけでなく、若年層や男性など新たな顧客をつかんだ商品がヒットにつながっているといえそうだ。

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