日本では、ほぼ1年を通してさまざまな種類の植物の花粉が飛散しています。冬~春はスギやヒノキ、秋はイネ、ヨモギ、ブタクサなどです。つまり症状の重さや患者数の多さに違いはあるものの、いわゆる花粉症は季節を問わずに発症することがあるのです。
その中で最も患者数が多く、一般に知られているのがスギの花粉症です。例年、2月の半ば頃から本格的な飛散が始まります。スギ花粉の次にピークを迎え、花粉症患者数が比較的多いヒノキまで加えると、毎年1月後半頃から5月前半頃にかけてが、花粉症関連商品の需要が最も高まる時期ということになるでしょう。
花粉の飛散量は気象条件と関係があり、MDを実践する上で参考にすることができます。今回はそのポイントを解説します。
「飛散規模はどの程度か」をチェック!
花粉症対策関連商戦の計画を立てる上でまず重要な視点は、当シーズンの飛散規模がどの程度かを見極めることです。それによって医薬品あるいは衛生用品メーカーは対策商品の製造計画の調整をします。また小売側でも季節商談において、それらの対策商品の仕入れ規模を決定します。
シーズントータルでの飛散規模の予測方法
一般的に、当シーズンのスギ花粉の飛散規模は、直前の夏の天候実績の影響を受けることが知られています。花粉のもととなる花芽の生育の時期が夏だからです。夏の天候の状況から、シーズントータルの花粉の飛散量をある程度類推することができます。
夏の日照時間が多い(夏らしい天候だった)場合、花芽が順調に生育するため、花粉飛散規模は大きくなります。逆に夏の日照時間が少ない(天候不順だった)場合、花芽の生育があまりよくなく、花粉飛散規模は小さくなります。
なお、気候とは直接関係なく、前年の花粉飛散規模の大小にも関係しているといわれています。前年の花粉が多ければ当年は控えめに、前年の花粉が少なければ当年は多めとなりやすい傾向があります。
気になる今シーズンの花粉飛散規模は?
前段で説明した方法に従って、まず昨年2022年夏の天候を確認します。気象庁資料によると2022年夏の天候は、下表のとおりでした。
2022年夏は、7月中旬に天候不順な時期があり、また北陸以北の地方は8月に入って前線の影響を受けて雨の多い天候となりましたが、それ以外は晴れて気温の高い時期が多く、シーズントータルとしては夏らしい天候となった地域が多いと言えます。つまりスギ花粉の飛散量が多くなりやすい状況だったということです。
また、環境省が2022年12月26日に発表した「令和4年度スギ雄花花芽調査結果」によると、今季のスギ雄花の実際の着花量は、東北北部と四国の一部で前年より少なかったものの、東北南部から九州にかけての多くの地域では前年より多かったということです。
今季はこのように花粉飛散量がかなり多くなると見込まれる材料が多く、環境省も同日のコメントの中で「関東、北陸、近畿、中国地方などの地域では令和5年春の花粉飛散数が極めて多くなる」との見込みを示しています。民間の気象情報会社などが発表する予測でも、今季は全般に多いと予想しています
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