本格到来!? 小売業のクラウド活用

2017/09/15 11:30
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 さらに、消費者データの分析・活用・管理のような、これまではセキュリティに対する不安からクラウドが利用されにくかった領域でも、Azureの採用は進んでいる。その大きな要因の1つが、米マイクロソフト社の長年にわたる企業システムのセキュリティ対策の経験と実績だ。Azureでは、外部からの攻撃や侵入に対して、専門組織が24時間体制で監視。サイバー攻撃に対しては、AIを使った防御機能を備えるなど万全の体制を敷いている。

 

 こうした取り組みが評価を受け、Azureは日本発のセキュリティ認定制度「クラウドセキュリティマーク ゴールド」を取得しているほか、世界各国でセキュリティやコンプライアンスに対する基準を満たす監査評価を受けている。また、クラウド上に保存されているデータの取り扱いに関しては、「他社クラウドと異なり、これらデータは小売業者など顧客の了承なしには、いかなる場合も開示しないという明確な基準を設けて運用している」(藤井氏)としており、顧客の安心とデータの安全を担保する上で大きな強みになっている。

 

先進的事例がAzure上で展開

米マイクロソフト社とアクセンチュア・アバナードで共同開発したCOOP Italyの「Future Store」
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ラーメン専門店「鶏ポタTHANK」でAIロボを導入
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 小売業界では、革新的な取り組みにおいてAzureを採用する事例が増えている。15年に発足した米ECベンチャーのジェット・ドット・コム(Jet.com)はその好例だ。

 

 「米国でアマゾンに唯一対抗できるEC」として注目されている同サイトは、膨大な商品を扱っており、常にアマゾンより安い価格で商品を提供することで消費者からの支持を集めている。同サイトでは消費者がカートに商品を入れると、商品の組み合わせや送料、そのほかのさまざまな価格要因からリアルタイムに最低価格に変動させる。

 

 この低価格戦略を実現するために、高度なアルゴリズムと膨大なデータをもとに、リアルタイムで処理を行えるコンピューティングリソースが必要であった。また、早期のサービスインに向けた開発生産性を高める工夫も必要であり、ジェット・ドットコムはAzureを採用することで、これらの課題を解決した。

 

 国内の小売業でも先進事例が出始めている。その1つが、ローソンのLINE公式アカウント「あきこちゃん」である。同サービスは、ミレニアル世代を中心として利用が拡大しているソーシャルの領域で、AIを活用して効率的に消費者とのつながりを強化しようというもの。

 

 Azure上で稼働するAIを活用して、ローソンのキャラクターである「あきこちゃん」をAI化し、顧客とのソーシャル上でのコミュニケーションを実現している。これにより、機械学習を活用した精度の高いパーソナライズをしたり、対話の中からのチャネルでは知りえない消費者の嗜好データを獲得したりすることできる。

 

 ほかにも、Azureは国内外で多くの導入事例があり、企業のデジタルトランスフォーメーションに大きく寄与している。代表的な事例は、日本MSの公式ホームページ上で公開されている。現在、日本MSにおけるAzureの売上高は1年間で約2倍となり、売上高全体の47%を占めるまでになっている。

 

 クラウドサービス市場は拡大を続けている。実際に、アマゾンは利益の大半をAWSが稼ぎ出している。「個人的な考えではあるが、アマゾンと小売業が競合関係にあると考えると、小売業がAWSを利用することには矛盾があるように思う。事実、米国ではウォルマートをはじめとした大手小売業やその取引先がAWSの利用をとりやめる動きが始まっているようだ」

 

 藤井氏はこう続ける。「AWSの競合関係にある弊社は、小売業のためにもAzureの提案を加速させていく使命があると感じている」と話しており、今後、さらに小売業への取り組みを推進していきたい考えだ。

 

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