ipoca「ミセシル」の活用で見えてきた自店の強み、地域密着型スーパーの成長戦略
千葉県・茨城県でスーパーマーケットを運営するランドロームジャパンでは株式会社ipocaの小売流通業向け統合マーケティングソリューション「ミセシル」を2020年に導入し、マーチャンダイジングや販促活動に生かしている。同社の橋本孝宏氏に導入の背景や活用事例について話を聞いた。
接客サービス日本一を目指す
こだわりの地域密着型スーパー
―― はじめにランドロームジャパンの会社概要についてお聞かせください。
橋本 当社は1973年、千葉県船橋市に三咲店を開店して以来、千葉県・茨城県に22店舗を展開する地域密着型のスーパーマーケットです。
当社では「健康」、「グルメ」、「快適生活」、「人を大切に」の4つを経営理念として掲げています。「健康」を得るために必要な厳選された食材を新鮮な状態で提供し、それを美味しく調理していただき、本当の意味の「グルメ」な生活を送ってほしい。そして、いつも気持ちよくショッピングをしていただき、「快適生活」をエンジョイしてほしい。また「人を大切に」という言葉はお客様に対してだけでなく従業員やお取引様も含んでおり、この4つのキーワードと、「接客サービス日本一」をスローガンに、地域の皆様に愛される店づくりを目指しています。
―― ランドロームの店舗の特徴を教えてください。
橋本 創業の地で本部のあるこの三咲店もそうですが地域密着型ということで、これまで住宅地やショッピングモール内など郊外を中心に出店してきました。しかし人口減少によるオーバーストア化が進むことを鑑み、今後は人口の多い足元商圏を考慮しながら、小商圏型の店舗も出店していく予定です。
競合については、この三咲店の場合、駅前のヤオコーさん、車で10分圏内にマルエツさん、カスミさんなどがあります。
当社では他社との差別化戦略として、オリジナリティのある商品開発に力を入れています。スイーツに関しては「真面目」シリーズとしてシュークリームやプリンなどを展開しており、特に年間100万個売れるシュークリームは、「デリカッセンお弁当・お惣菜大賞2022」のスイーツ部門で優秀賞を受賞しました。このブランディング経験を活かし、今後は総菜など他部門でも「真面目」シリーズでの水平展開を考えています。
競合や商圏だけでなく
自店舗への理解を深めるツール
―― 御社では2020年にipocaの小売流通業向け統合マーケティングソリューション「ミセシル」を導入していますが、導入のきっかけについてお聞かせください。
橋本 私は当社のシステム関連を担当していますが、その縁でipocaの山本氏と面識があり、流通企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に関するお話を色々と伺っていました。
当社はポイントカードやアプリといったサービスがなく、新聞の折り込みチラシや21600円分のレシートを集めていただくと1000円分の商品券と交換するというアナログな販促施策のみを行っていました。
これらの施策は集客につながることはあっても顧客情報が蓄積せず思ったようなデータ分析が行えません。また、チラシの効果についても効果検証が難しいため、販促の原資をもっと有効活用できないかと考えました。
このことから競合対策や品揃え、新たな販促施策のヒントになればと「ミセシル」の導入を決めました。
―― 「ミセシル」の特徴や活用法についてお聞かせください。
橋本 「ミセシル」は位置情報データ、購買データ、WEB行動データという3つのビッグデータを掛け合わせ分析することで、競合店舗までを含めた商圏・顧客分析ができるツールです。当社では2020年より、全店舗に導入しています。
「ミセシル」は商圏の範囲やシェア率、利用者の性年代や属性が分かる「自店と競合店の商圏と顧客の把握」をはじめ、競合の施策が自店に与える影響度が分かる「売上の好不調の外部要因調査」、「商圏競合変化への対策」といった分析方法があります。
これまで当社はID-POSやデータ分析の知識もないことから、勘や経験、前年の売上実績から品揃えや販促施策を検討していました。そのため競合や商圏の状況に加えて、自店舗の客層の実態もきちんと把握できておらず、ニーズとのミスマッチが起こっていました。
「ミセシル」を導入したことで、商圏や競合の動向などこれまで見えづらかった外部要因の変化を捉えられるようになりました。そこから施策の精度も飛躍的に上がったと感じています。