地方部の配送網と全米の拠点整備に190億ドル投資! アマゾンが仕掛ける物流戦略とは
物流投資でアマゾンが描く未来図と、浮かび上がる課題
これら2つの大規模投資を通じてアマゾンがめざすのは、米国内における配送スピード向上とカバーエリアの拡大によって、顧客満足度を高めることだ。すなわち、EC市場での優位性の確保である。地方住民が抱える買物の不便さを解消し、多様なラストマイル戦略によって配送コストを最適化。さらに、過去の経験から学んだ財務リスクを軽減することで、持続的な成長基盤の構築を図っている。
その一方で、アマゾンの物流戦略の前途には、いくつかの克服すべき課題も横たわっている。とくに、米中貿易摩擦の再燃や関税政策への警戒感は無視できない。アマゾンが中国製品の発注をキャンセルしたとの報道も出ており、不安定な国際貿易環境が、サプライチェーン戦略や投資計画の実現性に影を落とす可能性がある。
加えて、クラウド事業やAI分野といった成長エンジンへの巨額投資と、物流網への大規模投資のバランスをいかに取るかも、今後の焦点となる。両者の相乗効果をどう生み出していくかは、まさに経営手腕の真価が問われる局面である。今後、アマゾンが資本パートナーとの新たな連携モデルを成功させ、財務的負担を巧みにコントロールしながら成長軌道を維持できるか、そして激動する国際情勢の波をどう乗り越えていくかが、同社の物流覇権確立に向けたカギとなる。
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