米アマゾン首位陥落、コストコなど躍進の背景は?米小売「顧客ニーズ適応度」ランキング!
流通関連のデータ分析を行う英ダンハンビーは、米国の主要グロサリー企業を対象とした顧客ニーズ適応度ランキング(Retailer Preference Index)を公表している。この調査は、消費者の購買行動に関するアンケート結果と、各企業の業績を組み合わせたユニークな指標で、2018年の初回から小売企業の実力を知る上で有益と業界で位置付けられている。本稿では2023年1月に発表された最新版(第6回)のランキングを見ていく。
取材協力=高島勝秀(三井物産戦略研究所)
アマゾンが2年連続の首位から陥落!
今回ランキングの最大のトピックは、コロナ禍の2021年から2年連続で首位の座にあったアマゾン(Amazon.com)が2年連続の首位から陥落したことである。
その背景を考察し、ランキングを発表する前に、このランキングがどのように測定されたものかを解説しておきたい。
本調査は、顧客が小売企業や店舗を選ぶ上でのニーズを5つの要素(図表1)に振り分け、アンケート結果に基づき各ニーズの重要度を算定、それらへの各企業の適応度を測定している。順位は、その結果に過去5年間の業績を加味して作成されている。
コロナ前の2018-19年は、「価格」と「品質」が最重視され、2020年にはそれらに加えて地域住民の嗜好に合った品揃えや店舗立地の「利便性」も加わった。
しかし、コロナ禍の2021-22年においては、買い物に要する時間、入店や会計の列待ち時間の短さが重視され、「スピード、利便性」そして「デジタル」を軸とした顧客対応が評価され、アマゾンが首位となったという背景がある。
消費者が重視する3つのポイントとは
直近2023年は、物価上昇や経済先行き不透明感から、「価格」と「品質」(これらのバランス)が再度重視されていることに加えて、コロナ禍で加速した「デジタル」との組み合わせが重要性を増している。
オンライングロサリーの利用者は、2019年には39%であったが、2020年に50%と急増し、その後2022年は45%に下落したものの、そのニーズや重要性は衰えておらず、小売企業のデジタル対応は顧客に選ばれる上では引き続き重要であるとの位置づけである。
では、アマゾンを抜き、この「価格」「品質」「デジタル」の3点で最も高い評価を受けた小売業はどこだったのだろうか?
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