ワンクリック決済にトラックテック……ショップトーク2022注目スタートアップを解説!

解説:榎本 瑞樹(日商エレクトロニクスUSAPresident & CEO)
Pocket

ミドルマイルの配送を自動運転で行うGatik

 サプライチェーン分野において注目度の高いスタートアップとしては、17年に設立され、ミドルマイルの自動配送運転サービスを開発してゲーティック(Gatik)が挙げられる。ミドルマイルとは、たとえば配送センターから店舗間の決まったルートの配送で、約10キロ程度の距離をイメージしてほしい。

 ショップトークの講演には共同設立者およびCEOであるGautam Narang(ゴータム・ナラン)氏が登壇した。講演の中で、同氏は深刻な人手不足、ドライバー不足を抱えている今、最終消費者がサービスを享受するためには同社の技術が必要不可欠であると述べていた。現在ウォルマート(Walmart)と提携し、実際の配送を行っているという点もアピールしていた。

ゲーティック社CEOのゴータム・ナラン氏(提供:日商エレクトロニクスUSA)

 米国では輸送量に対するドライバーの不足が深刻である。現状ではシニア層のドライバーが多く、引退が間近に迫っている方々も多い。一方でドライバー業に従事する若者が少ないことから、2021年時点で6万8000人のドライバーが業界で不足しているが、2028年にはドライバーの不足が16万人を超える可能性があるとの予測もある。

 ウェイモ(Waymo)やテスラ(Tesla)などの大企業も自動運転トラックに注力している。トラックテック企業の中でもトップを走っているのが、トゥーシンプル(TuSimple)という企業である。その他トヨタ・デンソーと連携しているオーロラ(Aurora)も注目されている。

 ラストマイルについては競合がひしめき合っている。ウォルマートのみを見てもGMの子会社であるクルーズ(Cruise)やニューロ(Nuro)などと提携している。

完全無人の自動運転に成功!?

 Gatikはミドルマイルに注力しているため、アーカンソー州において、すでに完全無人の自動運転に成功したとされている。具体的には物流センターからウォルマート店舗までの7マイルの間を2台のトラックが1日あたり12時間、週7日で稼働している。これまで実証実験を行っていたところを、実際に運用しているという点が注目に値する。セーフティードライバーをつけての自動運転を2年間行っていたが、2021年秋ごろから無人化した。

 トラックテックを活用したサプライチェーンの構築については、ウォルマートが他社に先行しており、今後も規模は拡大していくだろう。

1 2

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態