オークワ、最終赤字も反転の兆し? 「若年層戦略」の成否がカギに
マーケティング強化と利益率の見直しで業績回復へ布石
こうしたなか、オークワは中計に基づき、引き続き「業態の再構築」「生産性の向上」「PB商品の開発強化」「業務革新によるコスト削減」「人的資本価値の最大化」などを柱とした構造改革を進めている。足元の業績は厳しいものの、各施策は具体的な取り組みへと移行しつつあり、回復に向けた基盤づくりが着実に進行している。
具体的な取り組みの一つとして、同社は24年に「マーケティング室」を新設。POSデータや購買履歴の分析を通じて顧客像の可視化を進めた結果、主力である50〜70代層の支持が安定している一方で、30〜40代の若年ファミリー層の取り込みに課題があることが判明した。これを受け、若年層へのアプローチを強化すべく新たな施策を展開している。

たとえば「子育てクラブ」では、アプリ登録を条件に、18歳以下の子どもや孫を持つ保護者にポイント付与やクーポン配信を行う。24年末時点でアプリ登録者数は24.2万人を超え、今期は新規会員10万人の獲得を目標に掲げる。
マーケティング担当者を各部門に配置し、売場や商品戦略を現場レベルで磨き上げる体制も構築。エリア特性と顧客動向を照合し、店舗ごとの施策最適化を図る。
こうした取り組みの成果は、25年2月期第4四半期から既存店の売上高として徐々に表れ始めており、12月以降は前年同月比で100〜103%程度の水準を記録する月も出てきたという。とくに1月度には既存店売上高が前年比103%近くまで伸長しており、客数・買上点数ともに持ち直しの兆しが見えつつある。
一方で、価格政策や粗利益率の見直しにも着手。とくに日配・農産部門では利益率のコントロールで一定の成果が出てきており、粗利益率を削って売上を追うという従来の施策を見直し、利益と売上のバランスを意識した運営への転換を図っている。
一連の施策は、業績への影響はまだ限定的ではあるものの、組織や店舗運営の在り方に変化をもたらしている。最終年度と位置づけていた27年2月期での目標達成は見直されたが、計画自体は大きく変更せず、既定路線を深化させ、成果を着実に積み重ねていく構えだ。
なお、26年2月期の連結業績予想は、売上高1265億円(対前期比3.2%増)、営業利益3億円(同21.8%増)、経常利益3億円(同11.8%増)、当期純利益1億円の黒字転換を見込む。足元の再建と中長期的な成長基盤の整備を両立させ、回復軌道への確かな一歩を踏み出す方針である。







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