アルペン24年6月期大幅減益 今後「アパレル縮小」の理由とは

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集者)
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収益性改善のために打ち出す策とは

 こうした状況を踏まえ、アルペンは25年6月期を起点とする「中期経営計画2027」を策定。売上の継続的な成長と収益性の改善をめざすための重点施策を掲げた。まず一番大きな取り組みとして掲げたのが既存店をリニューアルすることだ。1年につき平均10店舗の全面改装、同30店舗の部分改装の実施を予定し、売場や商品構成の刷新を図る。

 次に挙げたのは商品構成の見直しだ。今後、好調なシューズ関連や競技系スポーツ商品の品揃えを強化する。一方で、販売動向が気温に左右されるアパレルは値引き販売の比率が高まっているため、取り扱いを縮小する。

 また、自社ECサイトの再構築にも取り組む。現在、EC事業は外部のECモールが中心となっているところを自社ECサイト中心に切り替えていく。自社ECサイトは今後、検索や比較機能などの利便性の向上に努める。加えて、取扱商品の拡大やOMO(オンラインとオフラインの融合)の強化により、EC売上高を2倍にすることをめざす。

 需給管理の強化も重点施策に織り込んだ。水野社長は「ここ数年需要の変動が大きくなっており、売上が計画から下振れした際の在庫数の調整がうまくいかないことが多くなった。販売動向の予測精度を高めて発注量をコントロールし、過剰な値引きを抑えていきたい」と話す。

 さらに、収益改善や集客が見込めるプライベートブランドの強化にも取り組む。同社では開発体制の見直しを進めており、「高品質かつ低価格なラインアップが増え、 他社に先駆けた独自性の高い商品が生まれてきた」(水野社長)。さらに、生産地や委託工場の見直しなどによって原価の低減が進んできており、こうした取り組みをより加速する。

 加えて、旗艦店のさらなる充実や人材育成などにも取り組む考えだ。

 アルペンはこうした施策を実施することにより、25年6月期の売上高を2680億円、営業利益63億円、当期純利益32億円の増収増益を見込む。また、2027年6月期の売上高2850億円、営業利益125億円、当期純利益80億円をめざす。

注1)AlpenFUKUOKA(福岡県福岡市)とAlpenNAGOYA(愛知県名古屋市)のそれぞれを3業態出店として計上

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記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修了。関西のグルメ雑誌の編集部に所属後、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。日本酒、特に関西の地酒好き。趣味は、未知のものを食べること。「口に入れてから考える」ことをモットーに、日々さまざまな食べものを味わっている。

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