マミーマート(埼玉県/岩崎裕文社長)は先ごろ、2022年9月期の通期決算を発表した。電気料金の上昇や原材料価格の高騰、相次ぐ値上げなど事業環境が厳しさを増す中、ディスカウント型の新フォーマット「マミープラス」の出店など新たなチャレンジも見られた同社。最新の通期決算はどのような着地となったのか。
営業収益と当期純利益は過去2番目の業績
マミーマートの22年9月期の通期決算(連結)は、営業収益が1330億円(新収益基準適用のため前期比較はなし)、営業利益が49億円(対前期比16.6%減)、経常利益が54億円(同14.9%減)、当期純利益が34億円(同12.9%減)だった。減益着地となったが、営業収益と当期純利益は、巣ごもり消費の恩恵を受けた前期に次いで、過去2番目を更新した。
減益の主な要因は、販売費および一般管理費(以下、販管費)の上昇だ。電気料金の上昇によって水道光熱費は前期から6.5億円増、既存店の改装や後述の新フォーマットの出店などにより設備費は同1.9億円増、クレジット決済比率の上昇などにより手数料は同1.0億円増となった。とくに水道光熱費は対前期比40.5%増と当初の想定を大きく上回った。
コスト削減策として、マミーマートは2022年4月から全店にLSP(Labor Scheduling Program:従業員の週間勤務計画)を導入。店舗業務を一般作業と技術作業に分解し、部門縦割りだったシフトは作業別へと変更、従業員の業務効率化につなげた。その結果、労働時間は前期比較で5.6%削減された。ただ、新入社員を積極採用したことなどもあり、人件費は同1.3億円増(同0.9%増)と前期を上回った。全体の販管費合計は同10.7億円増(同3.7%増)となった。
マミーマートは22年9月期は既存のレギュラータイプの食品スーパー5店舗を「生鮮市場TOP!」へと業態転換。そのうちの4店舗については、改装前月までの3カ月と改装翌月からの3カ月の売上高の比較で、平均伸長率218.9%と大きく業績を伸ばしているという。
そのほかグループ会社の業績を見ていくと、連結子会社で生鮮食品の製造・加工を行う彩裕フーズ(埼玉県/秋葉和夫社長)は営業利益が同48.9%減の6.0億円と大幅減益となった。「彩裕フーズ第二工場」(埼玉県川越市)をはじめとした設備新設による大型投資が要因だ。
同じく連結子会社で清掃・施設管理、温浴事業を行うマミーサービス(埼玉県/奥野峰晴社長)の営業利益は同38.9%増の1.4億円だった。2019年9月期との比較では8割程度とコロナ禍以前の水準におよばないものの、訪問介護などのライフサポート事業が好調に推移し、増益を果たしている。
「ディスティネーションストア」への進化をめざして
マミーマートが今後の店づくりでめざすのは、「ディスティネーションストア(顧客が目的を持って来店する店)」だ。これを実現するため、足元では既存のレギュラータイプの食品スーパーの「生鮮市場TOP!」「マミープラス」への転換に力を入れている。
「生鮮市場TOP!」は、「行くのが楽しくなる食の専門店」をコンセプトとし、高品質の生鮮食品や総菜を提供するフォーマットだ。商圏を広域に設定し、一般客だけでなく、“料理好き”の層もターゲットに設定し、それらの層のニーズに応える生鮮食品や総菜を豊富に揃えるのが特徴だ。
一方、ディスカウント型の「マミープラス」は、「生鮮市場TOP!」よりも価格訴求を強調したフォーマットだ。生鮮・総菜を低価格で販売し、他フォーマットよりも商圏は狭い。2022年9月期は5月に「西平井店」(千葉県)、9月に「下戸田店」(埼玉県)と2店舗を「マミープラス」に転換した。
2023年9月期の業績予想では、営業収益が1343億円(対前期比1.0%増)、営業利益が42.9億円(同13.5%減)、経常利益が47.4億円(同12.7%減)、当期純利益が30億円(同12.3%減)だ。電気料高騰の影響を考慮し、増収・減益を見込む。