日本の小売業1000社ランキング!上位10社で大きく順位変動も、コロナがさらなる変化を生む

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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20年度はコロナ禍の“特需”でSMが大きく伸長する見込み

 SMは今回総売上高が減少したものの、20年度は新型コロナウイルスの感染拡大による“特需”の影響で、大きく増加するものと予想される。政府からの外出制限の要請や在宅勤務の奨励などにより、まとめ買い需要や巣ごもり需要が増大し、食品や日用品などの生活必需品を取り扱うSMへの需要が急激に拡大することとなったためだ。SM最大手ライフコーポレーション(大阪府)の21年2月期第1四半期の連結営業収益は対前年同期比10.9%増の1951億円と急拡大。そのほか、SM上位企業のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都)やヤオコー(埼玉県)、アークス(北海道)なども第1四半期の連結営業収益では2ケタ成長を記録しており、20年度通期は増収・増益を達成する企業の数が大幅に増えると想定される。

 しかし、コロナ問題は長期化することが予想されており、今後SM各社に与える影響は未知数だ。20年8月末時点で、日本の累計感染者数は約6万8000人、世界では2500万人を超えている。経済への悪影響による節約志向の高まりや、感染リスクを避けてのECの需要増などの懸念事項もあり、今後も各社が成長を維持できるかは不明瞭だ。

来年以降は順位が大きく変動する可能性も?

 小売業は良くも悪くも新型コロナウイルスに大きく影響を受けている。前述したようにSM各社は好調だが、今回トップ3を維持したCVS3社の20年度の既存店売上高は苦戦している。20年7月ではセブン-イレブンが対前年同月比5.1%減、ファミリーマートが同10.8%減、ローソンが同8.9%減となっており、20年度は3社とも減収・営業減益を見込んでいる。在宅勤務の普及でオフィス立地の店舗が苦境に立たされているなど、消費者の生活様式の変化がCVSの売上に大きな影響を与えている。

 コロナ禍の影響により、来年は今回上位にランクインした企業が大きく順位を落とす可能性も少なくないだろう。また、コロナ禍の影響で各業態の勝ち組・負け組がより鮮明になり、上位企業主導のM&A(合併・買収)も起こるかもしれない。今回のランキングを読み解き、来年以降の業界動向を把握するための一助にしていただければ幸いだ。

 

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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