英ネットスーパー最大手のオカドグループ(Ocado Group)が発表した2019年11月期の業績は、売上高が前期比9.9%増の17億5660万ポンド(約2500億円)だった。18年11月期と比べて増収率は2.4ポイントダウンした。
オカドグループは、自社ウェブサイト「オカド・ドット・コム」を通じて英国内で倉庫型ネットスーパー事業を展開するオカドリテールとネットスーパー関連の販売・物流システムなどを外販するオカドソリューションズで構成される。
事業セグメント別の売上高は、小売事業が10.3%増の16億1750万ポンド、国内ソリューション&ロジスティクス事業が7.8%増の5億8320万ポンド、海外ソリューション事業が横ばいの50万ポンドだった。
同社は英国内で4ヵ所の顧客配送センター(CFC)を展開しているが、このうち英南部アンドーバーのCFCが19年2月に火災の被害を受けたことで売り上げの成長が鈍化した。また、ネットスーパー事業を全面的に受託していた英スーパーマーケット(SM)業界4位モリソンズとの契約変更に伴い、モリソンズが自社の店舗から商品を発送するネットスーパー事業を始めたことも、売り上げに影響した。
税・金利・減価償却前の利益(EBITDA)の利益は27.2%減の4330万ポンドだった。アンドーバーCFCの被災の損失が利益を押し下げたほか、海外事業の先行投資が重荷となった。
20年11月期は、10〜15%の増収を見込む。モリソンズからの受託事業の売り上げは減少する見通しだが、最短1時間で商品を配送するサービス「オカド・ズーム」や取り扱い商品の拡大などによって前期を上回る増収率を目指す。
英小売業大手のマークス&スペンサー(M&S)が19年8月にオカドリテールに50%を出資し、オカドリテールはM&Sとオカドグループの合弁会社となったため、オカド・ドット・コムで販売する食品は英SM大手のウェイトローズの商品からM&Sの商品に順次、切り替える。
また、海外ソリューション事業の契約先であるフランスのカジノ(Casino)とカナダのソビーズ(Sobeys)が、オカドの技術を全面導入した自動配送センターを20年上半期中に開設する予定で、ライセンス収入が増加する見込み。
海外ソリューション事業では、19年に日本のイオン、オーストラリアのコールズ(Coles)と新たに契約を結んだ。米国でオカドのソリューション事業と独占契約を結んでいるクローガー(Kroger)も22年までに20ヵ所の自動配送センターを開設する予定で、同事業の利益は今後、急速に拡大することが見込まれる。