英セインズベリーの18年度決算は増収増益、アルゴスの統合効果で
英大手スーパーのセインズベリーが発表した2018年度決算(決算日は19年3月9日)は、売上高が前期比2.1%増の324億1200万ポンド(約4兆7000億円)、税前利益が7.8%増の6億3500万ポンド(約920億円)と増収増益だった。
既存店売上高は0.2%減と苦戦したが、18年9月に買収したホームリテール・グループの統合効果が出た。また、年間で2億2000万ポンドのコストを削減し、増益につなげた。
ホームリテール・グループは、家電・玩具・スポーツ用品などを販売する「アルゴス(Argos)」を展開しており、セインズベリーは同社を14億ポンドで買収した。
セインズベリーは、同業で米ウォルマート子会社のアズダとの経営統合を計画していたが、英当局の認可を得られず断念した。調査会社カンターによると、19年2月24日までの1年間で英国のグロサリー(食品・日用品)市場におけるセインズベリーのシェアは0.37%低下している。これは、ドイツ系食品ディスカウントストアのアルディとリドルが台頭しているためで、両社は英グロサリー市場でのシェアを過去1年で0.87%拡大した。
アズダとの統合計画を阻止されたことで、成長戦略の見直しを迫られたセインズベリーは当面、既存店の改装とデジタル投資を強化する。19年度は400店舗以上を改装する計画。改装に当たっては、美容関連商品やフードサービス部門を拡充する。また、アルゴスの小型店舗を18年度末時点で281店舗にテナント導入しているが、19年度は10店舗でアルゴスを導入する予定だ。
セインズベリーの18年度の販売チャネル別売上高を見ると、スーパーマーケット(SM)が前期比1.0%増、コンビニエンスストアが3.7%増、オンラインが6.9%増だった。デジタル投資を加速することで、18年度に15億ポンドだったオンライン売り上げをさらに拡大する。また、店舗での利便性や従業員の生産性を高めるためのデジタル投資も増やしていく。
一方で、店舗の新設投資は抑制する。セインズベリーの18年度末の店舗数はSMが608店舗、コンビニが820店舗(ほか、アルゴスが883店舗など)だったが、19年度の新規出店はSMを2店舗、コンビニを10店舗程度にとどめる。