廃材処理コストを減らすマルエツの挑戦、有価物分別に共同ルート回収

ダイヤモンド・チェーンストア編集長:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
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店舗の意識改革で分別が進むマルエツの取り組み

産業廃棄物、有価物の2台体制で回収を行う
産業廃棄物、有価物の2台体制で回収を行う

 そうしたなかマルエツでは、店舗で廃材を有価物と産業廃棄物に分別し、1店舗当たり年2回の頻度でルート回収を実施。有価物の売却益と、効率的なルート回収による収集運搬費用の圧縮により、廃材処理コストの大幅削減に取り組んでいる。

 マルエツのケースでは、廃材の収集運搬業者は有価物回収用と産業廃棄物用のトラック2台態勢で、あらかじめ決定されたルートに沿って順次回収作業を実施する。その後、金属類などの有価物はマテリアルリサイクルされ、産業廃棄物は中間処理場に送られるというプロセスだ。

 ここで重要になるのが、各店舗が「どの程度分別をしているか」だ。有価物と産業廃棄物とに分けるにはひと手間かかるため、業務に追われる店舗スタッフの負担が増えるのは事実だ。

 一方で、適正な分別を徹底すれば、それだけ店舗に賦課される処理費用は減り、店舗のコスト低減につながる。もちろん、バックルームや廃材置き場を清潔に保つというメリットがある。

 マルエツ経営企画本部総務部の田島慎也氏は「分別状況は店舗によってまだバラつきがある状態だが、全体的に意識は向上している」と語る。

 実際マルエツでは、廃材の総回収量に占める産業廃棄物の割合が2019年は59%だったのに対し、22年は54%まで減っている。それに伴い、年々総廃出量も減少している。

 マルエツの親会社にあたるU.S.M.Hの経営戦略本部経営企画部長の北村智宏氏は「限りある人材で運営する店舗側は当然、なるべく販売に人時を費やしたいと考える。そうしたなかで、いかに資源回収に、必要な時間を割り当ててもらえるよう店を説得できるかが大事。バックルームをきれいにするとどれだけ業務が効率化されるかなどを地道に店側に説明し、納得してもらうことでマルエツは成果を出していったと説明する。

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ダイヤモンド・チェーンストア編集長

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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