バーチャル全盛時代に、「痛み」を伴う化粧品が支持される必然とは
「リアル脱出ゲーム」はなぜ人気を集めるのか
昨年末に放送されたNHK『紅白歌合戦』に出演する歌手のラインアップを見て、「誰なんだこの人たちは!」などと中高年を中心に“知らないマウンティング”が今回も繰り広げられたようだ。しかし客観的に見て、妥当な人選だったと思う。実際、私はほぼすべての楽曲を聴いたことがあった。これは自慢ではなく、知らない人たちが無知なだけだと思う。
現在、トップアーティストの年間売上高は楽曲外の関連商品を含めて100億円に至る。そこらの上場企業の売上規模を超えるケースもあるのだ。「知らない歌手ばかりが登場するので、紅白がつまらない」と愚痴をこぼす人は、いわば最先端のビジネスを知らないと宣言しているようなものだ。少なくとも「知らなかったから、勉強してみよう」という態度が重要ではないだろうか。自分は気に入らなくても、世間で人気なのは事実なのだから。
それを踏まえて本連載の読者、とくにリアル店舗を有する小売業に携わる人におすすめしたいのが、ここ数年ブームが続いている「リアル脱出ゲーム」だ。文章にすると説明が難しいが、狭い空間に数人で閉じこもり、画面やアナウンスされる内容などを手がかりに謎を解き、参加者同士で協力してゲームクリアをめざすというものだ。
若者を中心に人気を集め、東京であれば新宿、池袋など都心部、さらに全国にも拠点は点在している。尻込みするかもしれないが、同僚や家族を誘ってでもとにかく体験してみてほしい。今日の若者がなぜリアル脱出ゲームにお金を費やすのかが見えてくるはずだ。
日頃コンサルティング活動をする中で、「同世代の消費行動は理解できるけど、若い世代の消費行動ももっと知りたい」と聞かされることが多い。しかしそう述べてはいても、実際に若い人々の“消費場面”を体当たりで調査しようとする人は少ない。紅白に出場した知らない歌手の楽曲を視聴することと同じで、自分には関係ないブームやトレンドであってもまずは体験し、消費者が“財布を開く場面”に立ち会うことが重要ではないだろうか。
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