こんにちは、成田直人です。インフレが続き、お客さまの財布の紐も固く締まってきました。そうした環境下でも選ばれている店は値上げをしても常に繁盛しています。今回は、選ばれる店になるために欠かせない「付加価値」のつくり方について解説します。

自分の強みを起点に付加価値づくりに取り組む
全国で小売店舗数は増え続け、業態の垣根を超えた競争が本格化し、厳しい環境が続いています。さらにはコロナ禍で伸びたEC、宅配サービス、デリバリーなどがその存在感を確固たるものにして、ますます競争は激しくなっています。
そうしたなかで、小売・サービス・飲食業すべてに共通するこれからの店舗ビジネス生き残りの鍵となる方程式は「商品力+付加価値=繁盛店」です。あなたの店舗でしか得られない体験は一体何なのか。オンラインを含めた競争が激化するなか、これを常にアップデートし続けることが求められます。
では、具体的にどのようにして付加価値を提供すればよいのでしょうか。それは「あなた(もしくは店舗スタッフ)の強み」を生かすことです。
自分の強みを理解していれば、すぐにでも付加価値として提供できますが、「強みがわからない……」という方もいらっしゃるかもしれません。そんなときは自分の性格について考えてみましょう。私は大学生時代に「ABCマート」でアルバイトをしていたのですが、「何にでも興味が持てる」という自分の性格を生かしてあえてビジネスシューズを担当していました。なぜならスニーカー好きはほかにもたくさんいて、そのなかで勝ち残る要素が私にはなかったからです。
案の定、勉強し始めるとビジネスシューズの魅力にハマりにハマってしまいました。気づいたら自分でビジネスシューズを裁断し、断面図をみて靴の製法を研究し始めていました。周りからは「よくそこまでできるね!」と言われていましたが、私自身はまったく無理していませんでした。楽しくて仕方なかったのです。そして、青山・銀座の靴の工房(「ビスポーク」と言われるオーダーメイド専門店)で製造の工程を学ばせていただきました。
このように、自分の性格に焦点を当てて付加価値を創出するというのが考え方の1つです。私は地域で断トツの「ビジネスシューズマニア」になるということを選択して毎日多くのファンに囲まれ、日本一の販売員になることができました。
自分の趣味も付加価値にできる
趣味も自分の強みとしてとらえ、これを付加価値に転換することができます。
趣味は誰かに指図されたりするものではなく自発的に取り組むもの。この「無理をしなくても探求できる」「取り組む際にまったく腰が重くない」ということがポイントです。嫌なことを無理に続けても苦痛です。いずれやらなくなってしまいますし、そうなるとせっかく積み上げたものが再びゼロになってしまいます。付加価値の提供は継続が重要ですので、趣味を生かすなどハードルが高くないほうが始めやすいです。
もし自分の趣味が付加価値になるのかどうか疑問に思ったとしても、ぜひ一緒に働くメンバーに相談して「どうやったらこの趣味を生かせるか?」について議論をしてみるとよいでしょう。自分自身は自然にやっていることなので価値を認識しづらいのですが、他人からすると新鮮に感じられることも少なくありません。
次回は、具体的に自分の趣味を生かして付加価値を創出した事例を紹介したいと思います。
販売・セールスにかかわる人、部下の離職に悩む人は全員読みたい!成田直人氏の著書、新発売!

もう、「売れない」で悩まない。気が弱くて売り込めない人ほど向いている。新時代の販売、セールス、営業の極意。相手から「売って欲しい!」といわれるための9の手順、自動的に売れ続ける仕組みの作り方を徹底解説! 販売員、セールスパーソンだけでなく、店舗の店長、営業組織のトップの人にもおすすめです。
なりた・なおと
明治大学商学部商学科卒業。19歳ABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得、22歳PCデポにて7か月で個人売上1億円を達成、2007年3月小売・サービス業専門コンサルティング会社を創業。年間200回10000名以上をトレーニングし、2022年3月で15周年を迎え法人300社・受講生15万名・登壇回数4000回を突破。著者としても接客業・店長向け書籍を中心に17冊(韓国2冊)の書籍を出版、累計13万部を超える作家としても活躍。PRESIDENT・日経ビジネスでも表紙・巻頭特集を飾り大手経済紙からも注目を集める。現役販売員を務めるなど、現場感に優れ、クライアントの多くが昨年度対比120%を突破し、5年で売上3倍・利益25倍、さらにはコロナ禍においても過去最高売上利益を更新し続けるクライアントも3社出てくるなど、「良い」よりも「成果が出る」をモットーとした現場型研修・コンサルティングには定評がある。功績が評価され、中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。2019年からお笑いの殿堂M-1グランプリやボディビルの大会に出場、2020年FMヨコハマメインパーソナリティに就任