マーケティング理論は米国の広大な土地を前提に、製品を効率よく生産し消費者に届け、企業利益を最大化するために考案された。勘と経験ではなく、科学的な生産工程や労働管理の下、売れるものを大量に効率よく消費者の元に届け利益を追求する画期的な考え方だった。その後、時代と共に経済は成長し、人々の暮らしは豊かになり、医療技術の進歩から平均寿命は延び、先進国の多くは少子高齢化社会となった。その一方でITの進化は進み、消費者の意識や国民のライフスタイルだけでなく、価値観すら多様化、ターゲットやセグメントと言った画一的なシナリオでは立ち行かなくなっている。では、この環境の中、ショッピングセンター(SC)のマーケティングの思考は今どのような状態なのか、今回では考えたい。
マーケティングの変遷
マーケティングと言えばフィリップ・コトラーだが、彼のメッセージは常に示唆に富む。
改めて振り返るとマーケティングは、製品中心主義から顧客志向に変わり、最近ではテクノロジーの進化やデジタルネイティブ世代の台頭など技術面でもユーザー面でも環境は変化し、それをもとに2001年、マーケティング5.0が発表された。詳細は割愛するが、この主張はデクノロジーを駆使し新たな顧客体験価値を作ることを目指している(図表1)。
では、このステップの中でSCマーケティング(図表2)はどの位置にいるのか。
日々のマーケティング活動は、顧客のニーズに合わせたテナントミックスや各種サービス、競合との差別化、CS、ESへの取り組みなどがマーケティング2.0にいる一方で、販促活動、接客ロープレ、新業態などの思考はマーケティング1.0そのものである。
その中でも販促活動は、「どうやって集客するか」「どうやって売るか」とKPIの設定や効果検証もそこそこにイベントやフェアを毎年繰り返す。そこでは
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