第122回 「価値の時代」の令和に、ショッピングセンターは世に何を提供できるか?
適正な価格転嫁を許容する「価値の時代」令和
昭和が「製品の時代」、平成が「価格の時代」、それに対して令和に期待するのは「価値の時代」である。
価格競争によってもたらされた結果は、賃金の上昇が無く、経済成長も無い30年だったことに鑑み、今後は適正な価格転嫁による物価上昇を許容することが大切ではないだろうか。もちろん、価格に見合う価値があってこそだが、iPhoneが20万円を超えても売れるのがその証左であろう。価値があれば対価を払う。
SCが消費者に提供できる価値とは
1969年、玉川髙島屋S.C.から始まったSC事業もこの経済成長下に形成されたトレンドや価格破壊を取り込みながら成長してきた。しかし、残念ながら2024年まで6年連続の減少となり、今後も増加の兆しは無い。SCに価値がなければ投資はしない。
この環境下では、既存のSCがどういった価値を消費者に提供していくのか。そこに議論を集中させるときである。これまでの販売機能と賃料収受だけで成長してきたSCの価値では、投資も消費も向かないビジネスと場所になってしまう。令和はSCにとって、投資と消費を呼び込む新たな価値を提供する時代となっている。
1 2
商業施設の価値を再定義する「西山貴仁のショッピングセンター経営」 の新着記事
-
2025/12/01
第128回 少子高齢化時代におけるショッピングセンターのターゲット設定 -
2025/11/18
第127回 ショッピングセンターが「フロア収支」を採用しない理由 -
2025/10/31
第126回 SC運営の成否を決める顧客の滞在時間 “装置産業”としての役割とは何か -
2025/10/17
第125回 「駅ビル」が抱えるリスクを百貨店の歴史から考える -
2025/10/03
第124回 相次ぐフードホールの開業 日本で成功するためのカギとは -
2025/09/19
第123回 「営業時間統一」という常識打破に向け、SCに求められる対応とは
この連載の一覧はこちら [128記事]
関連記事ランキング
- 2025-11-07長野県内最大「イオンモール須坂」が開業! イオンスタイルでは非食品の“専門店化”に注力
- 2025-11-18第127回 ショッピングセンターが「フロア収支」を採用しない理由
- 2025-11-13知られざる四国の激戦地・愛媛県西条市 トライアル進出で環境急変か
- 2025-10-21実例に見る「危ない商業施設」の見分け方
- 2025-11-13イズミ、ハローズ、ダイレックス……中四国最大都市・広島市の視察の仕方
- 2025-11-09新潟県初の「そよら」がオープン イオンリテールの県下での存在感さらに大きく
- 2025-12-01第128回 少子高齢化時代におけるショッピングセンターのターゲット設定
- 2013-12-02年間2ケタ以上のNSCを開業!地域密着の商業集積めざす=イオンタウン 大門 淳 社長
- 2023-04-28第68回 増加する百貨店のショッピングセンター化は「一時しのぎ」に過ぎない理由
- 2025-04-04第111回 ショッピングセンターの減少と小型化が進む理由とは





前の記事




第105回 SCの営業時間が全店統一でなくなってきた8つの理由