第116回 SC生き残りの鍵は「リピート率」! これからの時代の集客戦略とは

西山 貴仁 (株式会社SC&パートナーズ代表取締役)

既存客の維持が重要なフェーズに

 一方で、生産年齢人口が減少し、デジタルネイティブ世代が“新しいもの”に反応を示さない今、こうした施策は限定的かつ短期的な成果しかもたらさない。一度は来館したとしても、継続的な来店にはつながりにくいのだ。

 結果として、SCの顧客戦略は自然と既存客へ軸足を移しつつある。鍵を握るのはリピート率だ。離反率(一定期間に失う既存客の割合)が50%の施設と20%の施設を比べれば、その来店客数の差は歴然である(図表1)。

図表1離反率による差

 インバウンド需要で潤う一部の都市型物件を除けば、リピート率の安定こそがSCが力を注ぐべき戦略目標である。なお、リピート率向上の具体的手法は本連載のバックナンバーで解説しているので、ぜひ参照されたい。

図表2

 ただし、一定の離反は避けがたい以上、新規客の獲得も依然として必要だ。ただし、既存客の維持は新規客の獲得に比べてコスト効率が高いことも念頭に置いておきたい。

 25年は、「新規客の獲得」と「既存客の維持」のどちらを戦略目標とし、どれだけコストを投入するかを明確にすることが肝要だ。こうした部分を曖昧にすると無駄なコストと担当者の時間をムダに費やすことになってしまう。

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記事執筆者

西山 貴仁 / 株式会社SC&パートナーズ 代表取締役

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。201511月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒

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